冷・熱・光のコントロール

透明かつ変幻自在 –ガラスと窓の目に見えない不可欠な価値

建築デザインにおいて、なぜガラスはこれほどまでに度々議論に上がるほど、優れた素材なのでしょうか。それは、ガラスが建物やその居住者に提供する価値にあります。ガラスは、窓の内側の人にも外側の人にも大きな価値をもたらしているのです。

ガラスは、変化をもたらす素材です。私たちは窓を覗けば、その向こう側の景色とすぐにつながることができます。そして普段、窓ガラスについて考えることはありませんが、実はガラスは何十種類もの機能を備えています。機能を持ったガラスの種類として、強化ガラス、熱強化ガラス、合わせガラス、断熱ガラスユニット、防災ガラス、耐火ガラス、ダイナミックなガラス造形、発光ガラス、発熱ガラス、鳥やウミガメに優しいガラス、発電ガラス(BIPV)、プライバシー ガラス、調光ガラス、防音ガラス、構造用中間膜ガラス、防爆ガラス、防弾ガラス、反射防止ガラス、非光沢ガラス、EMIシールドガラス、透明導電膜付きガラス、抗菌ガラス、防汚ガラス、そしてアニール(焼鈍)ガラスなどが挙げられます。

これらのガラスの種類の多さから分かるように、窓は居住者やユーザーに対して、何十通りもの価値を提供することができるのです。しかし、一見したところ、ガラスにはほとんどその違いは見当たりません。2022年の国際ガラス年において、私たちがガラスを祝福するのは、ガラスの持つ機能を皆さんに知ってもらいたいという想いからです。ガラスは、多くの目的に対して大きな価値を提案していますが、ほとんどの場合、それらの価値を目で見ることができません。

ガラスが多く用いられる建築の分野ではどのような目的で使用されることが多いのでしょうか? 建築の場合、一般的には「冷暖房管理」と「採光」の2つがポイントとなります。これらは、設計基準や性能基準で最もよく検討される建築物の重要な点です。またそれらに加え、ガラスと窓の細部のデザインは、建物を最も特徴付けるものですが、窓の美観、性能、コストをどうバランス良く提供できるかが、建物の設計と窓ガラスの設置を検討する上での重要な要素となります。

採光

建物内に十分な日光を取り入れることの利点は、これまでにも数多く研究されてきました。窓は居住者と屋外をつなぐ役割を果たし、ある気候の地域では人々が85%以上の時間を屋内で過ごすようになったという研究結果もあるほど、昼間の日光を取り入れ、屋外とつながることは、大きなメリットがあることが分かっています。十分に光を取り入れている学校の子どもたちは、テストや認知作業でより良い成績を残し、また病院においては患者さんがより早く回復し、オフィスにおいては労働者の生産性を向上させることが分かっています。必要な昼光量や窓の光透過率の基準は地域によって大きく異なりますが、一般的にはこれらの採光のメリットにより、過去20年間で窓の昼光透過率は世界的に高まる傾向にあります。

昼光管理に加えて、熱と快適性のコントロールは窓ガラスにとって重要な要素です。これは通常、日射管理と熱管理の2つのカテゴリーに分けられます。一般的には、ガラスと窓は、1) 太陽光スペクトルの不要な熱、色、特性、熱伝導を遮断し、2) 対流、伝導、放射のすべてのメカニズムによる熱伝導を最小限に抑え断熱する方法で設計されています。これらの要素は、窓の設計や管理の方法によるため、フレーム、張り出し、シェーディング、ブラインドなども考慮し始めると、その検討内容は非常に細部にわたることがあります。ここでは、窓ガラスに関する日射管理と熱管理の基本的なポイントをいくつか紹介します。

昼光管理

  • 光のエネルギーは、主に紫外線、可視光線、赤外線の透過によって建物内に伝わります。
  • 太陽光のエネルギーは、窓を透過するか、ガラスに吸収されるか、ガラスに反射するかのいずれかです。この3つのメカニズムの合計は常に100に等しくなります。
  • 太陽光の紫外線と赤外線は窓に備わったフィルターにより遮断され、可視光線の昼光は透過させるようにします。これは分光選択性と呼ばれるもので、太陽光スペクトルの一部だけをフィルタリングするのです。ガラス基板で行うことができ、一部のガラスはそれだけで太陽光の透過を減少させます。さらにLow-Eなどのコーティングを施すことも可能です。吸収と反射のどちらかを大きくすることで透過率を下げます。例えば、Low-Eコーティングは、赤外線を反射するコーティングを重ねることで、赤外線の透過率を下げることができます。

熱管理

  • ガラス設計では太陽光のエネルギー管理に加え、赤外線熱などの一般的な熱伝達も管理しています。通常、寒い気候においては、建物から熱が失われます。熱はガラスや窓、および建物設計上の他の材料を介して放射、伝導、対流によって逃げていきます。熱損失が大きいほど、低断熱(R値)となります。
  • 窓をより良い絶縁体にするための重要なポイントは、1)熱源に熱を反射する低放射率(またはLow-E)コーティング、2)ガラス間に断熱層を設ける複数のガラス(断熱複層ガラス)の使用、3)ガラス板間の低伝導ガス(一般的にアルゴンが断熱層に使用されます)です。

昼光管理と熱管理は、相互に特性を持つことができます。より寒く、暖房の使用頻度が高い気候では、多くの場合、高い太陽光透過(太陽からの熱)を持つように窓を設計しますが、高断熱性(高いR値、断熱特性)を有しています。一方で、温暖な気候では、太陽光の負荷を減らすこと(太陽光エネルギーの大部分を遮断すること)が設計の主なテーマとなる傾向があります。複雑な性能評価や専門用語があり、国や地域によって一般的に許可されるガラスや窓の種類を決定する法規制も異なりますが、昼光管理と熱管理は建物の設計にかかわる基本的な要素です。

これらの基本要素を用いることで、窓デザインの昼光と熱損失/利得の性能指標を管理することができます。NSGグループは、このような窓に関する基本的な問題を解決するために、幅広い製品、加工、技術、機能をグローバルに展開しています。また、窓の基本性能に加え、近年は安全性、構造強度、防火性能、防風性能などの付加的な機能に対する要求もますます高まっており、これからもこれらのニーズに対応できる製品も提供していきます。

当社は、お客様のプライバシーを尊重しています。

当サイトでは、サイト利用状況の分析、アクセス履歴に基づく広告表示、ソーシャルメディアとの連携(いずれもオプション)、およびコンテンツの利便性向上(必須)の目的でCookie(クッキー)を使用しています。

「全て同意」をクリックすると、Cookieの使用および関連する個人データ利用に同意することになります。また、「必須のみ同意」をクリックした場合、必須Cookie以外のCookie利用を拒否することができます。Cookieの設定は、当社のCookieポリシーにアクセスし、いつでも変更することができます。

詳細については、