株主の皆様へ

株主の皆様におかれましては、平素より格別のご高配を賜り、厚くお礼申し上げます。

ここに当社グループの第153期(2018年4月1日から2019年3月31日まで)の概況についてご報告申し上げます。

2019年3月期の総括

当社グループの業績は、上半期は欧州を中心とした好調な市場環境とVA(高付加価値)製品の伸長により増収増益(前年同期比)基調で推移しましたが、第3四半期以降、欧州自動車市場の軟化やエネルギー関連コストの上昇、南米通貨安等の影響を受け、減収増益(前年同期比)となりました。 結果として、売上高は6,128億円(前期比2.3%増)、営業利益は369億円(前期比3.4%増)となりました。親会社の所有者に帰属する当期利益は133億円(前期比115.6%増)でした。営業利益は6期連続で増益となり、当期利益は前期から大きく改善することができました。

当期は、中期経営計画「MTPフェーズ2」の2年目として、基本方針である“Shift to VA”に新たに“Growth”を加え、“Shift to VA + Growth”として、目標達成に向け更なるアクションの加速に取り組んでまいりました。VA(高付加価値)売上比率は46%まで伸長し営業利益の改善につながっています。 また、“Growth”、つまりトップラインの拡大を視野に入れ、ベトナム及び北米において太陽電池パネル用ガラスの製造設備の増強増設を決定するとともに、将来有望な市場である南米アルゼンチンにおいても、フロートガラス工場の増設を決定いたしました。さらに、新規事業の育成・新しい顧客価値創造の取り組みを一層加速していくため、2018年7月にはビジネス・イノベーション・センターを立ち上げ、ライフサイエンスやIndustry 4.0といった有望分野における新規事業の開発を加速させることといたしました。

業績が順調に進捗していることを踏まえ、当社取締役会は、1株当たり20円の期末配当の実施を決議いたしました。当社は、持続可能な事業の業績をベースにして、安定的に配当を実施することを利益配分の基本方針としており、今後とも継続的な配当の実施に努めてまいります。また、A種種類株式の一部償還についても、実施することを決議いたしました。これは継続的に収益が改善してきていること及び現在の財務状況が概ね安定化していることを踏まえたもので、資金コストの削減に寄与します。

MTPフェーズ2の進捗と2020年3月期の取り組み

2018年3月期から3年間を期間とするMTPフェーズ2では、重点施策として、VA No.1戦略の推進、成長ドライバーの確立、ビジネスカルチャーイノベーション、グローバル経営の強化の4つの成長施策と、自己資本充実とネット借入金削減の2つの財務施策に取り組んでいます。

その成果として、成長施策では、VA No.1戦略の推進により、建築用ガラスでのオンライン・コーティング分野での優位性の確立や高付加価値自動車用ガラスの受注増加が進みました。 成長ドライバーの確立にむけて、有望な開発課題を“Star Projects”として登録し事業化を加速しています。ビジネスカルチャーイノベーションでは、“ものづくりの強化”により、自動車用ガラスラインの生産性向上が進み、“マーケティングの強化”により、カスタマーファーストの考え方が営業部門のみならず全社全部門に拡大しました。 グローバル経営の強化として、世界4か所にシェアードサービスセンターを設置しグローバルの事務処理機能を集約しました。また、インクルージョン&ダイバーシティ宣言を行い、人材の多様化と参画の促進を進めています。財務施策では、A種種類株式発行により自己資本の改善を図るとともに、金融費用削減目標を一年早く達成し、当期利益の押し上げに寄与しました。

2020年3月期は、欧州では自動車市場の減速、北米では自動車市場の悪化や競争の激化が見込まれるとともに、エネルギーや原材料コスト等においては引続き上昇することが推測されるものもあり、事業環境は厳しさを増すものと予測されます。 また、ブレクジットや米中貿易摩擦などのリスク要因も注視する必要があります。当社グループといたしましては、引き続きVA化の加速とコストの改善により事業収益力の強化を図り、景気変動に左右されない安定した事業基盤の構築を図るとともに、ベトナム・北米及び南米での戦略投資案件の確実な立ち上げと、成長加速に向けたマーケティング活動の強化及びR&D体制の拡充、さらにはビジネス・イノベーション・センターの増強により、次の成長に向けた体制構築を進めていきます。

2020年3月期はMTPフェーズ2の最終年度となります。エネルギー等投入コストの上昇や予定していた新製品上市の遅れ、将来の成長のための投資の前倒しの決定などにより、MTPフェーズ2の財務目標(ROS:8%以上, ネット借入/EBITDA比率:3倍)には残念ながら届かない見通しですが、引き続き“Shift to VA + Growth”の方針の下で、事業の成長と財務基盤の安定化を進めていきます。

持続的成長可能な社会の実現を目指して

当社グループは経営指針“Our Vision”において、“快適な生活空間の創造で、より良い世界を築く”を当社グループの使命とし、持続的成長可能な社会の実現に向けた取り組みを積極的に進めています。 VA製品の供給を通じて省エネ・創エネに貢献するとともに、事業活動におけるCO2排出量の削減や廃棄物の削減にも真摯に取り組んでいます。2018年7月にはScience Based Target initiativeに署名し、温室効果ガス削減に向けた取り組みを加速しました。

グループベースにおける人材の教育、育成も不断に進めています。当社グループは、「事業の要は多様な人材が生み出す力にある」との認識の下、インクルージョン及びダイバーシティの推進を経営のコミットメントとして取り組むことも宣言しています。 さらにグループ倫理規範の徹底やサプライヤー行動規範の遵守確保のプログラムを通じ、良き企業市民としての社会的使命、責任を果たしていきます。

そして、透明性、客観性が確保された実効性のあるガバナンスを、取締役会の監督の下、不断に追求していくことにより、持続的成長可能な社会の実現に貢献する努力を続けていきます。 2018年6月にコーポレートガバナンス・コードが改訂され、それを踏まえて2018年9月にCGSガイドラインの改訂が行われました。当社グループもこの改訂を踏まえ、コーポレートガバナンスを「形式」から「実質」へ進化させ、企業価値向上に向けた実効性あるコーポレートガバナンスの構築に取り組んでいます。

このような活動の結果、当社グループは、CSRの国際評価機関EcoVadis(フランス)から、2018年に最高ランクの「ゴールド」を初めて獲得しました。「環境」「労働慣行及び人権」「公正な商慣行」ならびに「持続可能な資材調達」の観点から評価されたもので、当社はガラス業界の上位7%に位置する高い評価を受けています。 当社グループは、社会の一員として持続的成長可能な社会の実現に貢献するべく、これからもたゆまぬ努力を続けてまいります。

株主の皆様におかれましては、引き続き当社グループへのご理解とご支援を賜りますようお願い申し上げます。

日本板硝子株式会社
代表執行役社長兼CEO
森 重樹