大気への排出

ガラス溶解窯の主な排出物は、燃料が燃焼することによって、また原料である炭酸塩や硫酸塩が分解することによって発生します。ガラスの製造は、原料を高温で溶解するため、大量のエネルギーを消費します。

大気への排出

ガラス溶解窯から排出される主要な汚染物質には、高温状態の空気中で窒素と酸素から生成される窒素酸化物、重油燃料や清澄剤から発生する硫黄酸化物、溶融中に発生する揮発物由来の粒子状物質等があります。二酸化炭素は、炭酸塩の分解および燃料の燃焼の両方から発生します。

NSGグループは、様々な技術を駆使し二段構えでこれらの排出物削減に努めています。まず、特殊なバーナーの使用やカレット使用量を増やす(ガラスのリサイクル)等の注意深い原料の選択によって汚染物質を削減し、溶解窯の熱効率を向上させます。

次に、溶解窯の排ガスが煙突から排出される前に汚染物質を除去します。

最近まで、稼働中の排脱設備はすべて標準技術に基づくものでした。この設備では3段階を経て排ガスから有害物質を除去します。まず、酸性ガスを除去するためにアルカリ性物質がスクラバーに注入され、次に中和反応による生成物および粒子状排出物質が電気集塵装置で除去されます。そして最後に選択的触媒還元脱硝(SCR) 装置に注入されたアンモニアを使って窒素酸化物が除去されます。なお、NSGが建設した最新の排脱設備には、セラミック触媒フィルター(CCF)と呼ばれる最新技術が利用されています。

大気への排出

■ 大気への排出
データはこちらを参照下さい。

オタワ事業所に新しい大気汚染防止設備導入

米国のオタワにある溶解窯(OT1)に新しい排脱設備を設置しました。これはMcGill AirClean社から購入したCCF装置です。このシステムは、一つの装置にある数千本の「キャンドル」と呼ばれるセラミックフィルターを基礎的な技術として利用しています。アルカリ性物質(ここでは石灰)が排ガスに加えられ、その結果生じた反応生成物および一次粒子がフィルターによって収集されます。この方法の斬新な点は、フィルターの繊維が金属触媒で被覆されているので、ガスがフィルターを通過するときに窒素酸化物も除去されることです。CCF技術は、NSGグループの今後の排脱設備の標準になることが期待されています。

炭素排出のモニタリングと削減

NSGグループでは、2019年に3.8百万トンのCO2を排出しました(直接排出と間接排出の合計)。

前年比では6%の減少であり、これは生産量の減少、再生可能電力の増加および多くの積極的な操業コスト削減対策(「エネルギー使用」セクション参照)とのバランスによるものです。

スコープ1の排出量は3.0百万トンでした。この直接排出は、製造工程での化石燃料の燃焼、製品の輸送、およびガラス溶解窯での炭酸塩原料の分解から排出されるCO2を合わせたものです。

スコープ2のCO2排出量は0.8百万トン、スコープ3の排出量は推定2.5百万トンでした。フロートガラス製造工場において、燃料の重油から天然ガスへの切り替えが進んだことにより、この40年間でCO2排出量をほぼ半減することができました。設計および操業における技術革新により、さらに削減が進んでいます。NSGグループでは、製品1トン当たりのCO2排出量を2020年まで2015年を基準に毎年1%ずつ削減することを目指してきました。これまでこの目標を毎年達成してきましたが、市場環境の悪化による生産量の低下により、2020年は目標に届きませんでした。

NSGグループは歩みを止めることなく進んでいきます。NSGグループは、SBTイニシアティブ (SBTi)によって検証された"科学的根拠に基づいた目標"にコミットしています。この目標では、CO2排出量(Scope1およびScope2)を2030年までに2018年対比で21%削減することを目指しています。さらに、製品1トン当たりのCO2排出量の改訂目標を導入しました。新しい目標は、2020年を基準として2024年までにCO2排出量を8%改善することです。

カレット利用で燃費効率向上と排出削減

ガラスのリサイクルは貴重な資源になります。品質が許容範囲内であれば、切り落としたガラスやカレットはすべてガラス溶解窯に戻してリサイクルされます。二次加工拠点や顧客から回収したガラスは、有用な資源です。カレットの利用には二つのメリットがあります。一つはガラスの製造に必要な原材料を削減できること、もう一つは廃材になるものを廃棄せずに済むことであり、これによりリサイクル循環を実現しています。

原材料の10%にカレットを利用すると溶解窯のエネルギーを3%削減でき、その結果CO2排出量の削減につながります。NSGグループの工場の一つでは、カレットを100%利用してガラスを製造しました。

省資源化のため、NSGグループの各工場では、継続してガラスやカレットの回収およびリサイクルを推進しています。埋め立て処理は最後の手段です。NSGグループ内の工場で再溶解できないガラスは、可能な限り外部業者にリサイクル処理を依頼しています。

サンサルボ事業所の新大気汚染防止設備

選択的触媒還元脱硝(SCR)テクノロジーを用いた新しい窒素酸化物排出防止設備が、サンサルボ工場(SS1)の2次加工ラインに付随する既存の汚染防止設備に後付けされることになりました。この汚染防止設備は、公害防止の分野で有名なドイツ企業GEAから購入しました。設置が完了し、SCRユニットが稼働すれば、SS1フロート窯の大気汚染防止対策が完了することになります。これにより環境にとって有益な効果が得られることは言うまでもなく、SS1フロート窯の燃焼がより柔軟に制御できるようになり、さらに高品質のガラス製品の製造につなげることができると期待されています。