ガラスにおける美の要素

ガラスは私たちの日々の生活に欠かすことのできない便利な材料であると同時に、その素材自体が持つ美しさゆえに古来より多くの芸術家の想像を具現化してきた素材でもあります。

無色透明、あるいは色付きの透明ガラスが、光の反射による輝き、なめらかな表面と造形によって生み出される美しさや繊細さなど、これらガラスが持つ素材の魅力によって、ガラスはテーブルウェアや窓ガラス、ステンドグラスに用いられてきました。

皆さんもご存じの通り、ガラス美術館は世界中の各地に存在します。ガラスという素材は確実に、美術工芸の一分野を占めています。

そして、現在のNSGグループが取り扱う製品の中にも、ガラスの美しさを最大限に伝えるものが数多くあります。

カガミクリスタル

ガラスの美しさを伝える製品の筆頭がクリスタルガラスです。精選された高純度の原料と、洗練されたデザイン、熟達した技術によって創り出されたカガミクリスタルの最高級クリスタルガラスは高い透明度を有し、美しい輝き、澄んだ音色が特徴です。

株式会社各務クリスタル製作所(現・カガミクリスタル株式会社)は、ドイツでクリスタルガラスの加工技法(特にグラヴィール彫刻)を修得した各務鑛三(かがみ こうぞう)によって、1934年に日本初のクリスタルガラス専門工場として設立され、その後1950年にNSGグループの一員となりました。

鑛三の妥協を許さない造形創作への思いが、クリスタルガラスを芸術にまで昇華させ、昭和12年 パリ万国博覧会 銀賞受賞に始まり、ニューヨーク万国博覧会名誉賞受賞、ブラッセル万国博覧会 グランプリ受賞など、数々の栄誉に輝くことで結実されました。

以来、熟達した職人が作り出す極めて繊細なクリスタルは宮内庁御用品としても認められ、日本国内外で広く愛されています。

「鉢」(1959年)
日本芸術院賞を受賞した各務鑛三の代表作

各務 鑛三

工業的な板ガラスの製造方法とは一線を画し、クリスタルガラス製造の各工程では、高い技能を持った専門の職人が数多く関わっています。

型吹成形は、吹き竿に巻き取ったガラス内に空気を吹き入れたものを、型に入れ更に空気を吹き入れて型通りに成形する技法です。宙吹成形は、型をいっさい使わず、宙空でガラスを吹きながら様々な形に仕上げていく技法です。

型吹成形・宙吹成形

切子(カット)は、ガラスの表面を各種のグラインダーで削って、幾何学的なパターンを彫り込む技法です。日本国内で人気のある江戸切子は、江戸時代後期に始まった切子細工を始まりとして、当時のおもかげを色濃く残しながら、その優れた意匠や技法の数々は180有余年もの間、途絶えることなく切子職人によって現在まで受け継がれてきました。

カガミクリスタルではさまざまな伝統の文様を基本に、社内の切子職人と伝統工芸士の方々の協力により、新しい江戸切子の組み合わせや構成、新たな意匠を作り出しています。

カット加工(江戸切子)
カガミクリスタルWEBサイト : https://www.kagami.jp/about/crystal.html

メタシャイン®・マルヴィナ®

美しさを表現する化粧品にもNSGグループの製品が使われています。

アイシャドウ、口紅、ファンデーションに美しく輝くパールが入っているのを見たことがありますか?じつはこれらの化粧品に使用されている美しいパールの正体は微細な板状のガラスなのです。アイシャドウ、口紅、ネイルなどのポイントメイク製品に使えるガラスパール「メタシャイン」や、ファンデーション、化粧下地、おしろいなどのベースメイク製品に使えるガラスパウダー「マルヴィナ」など、NSGでは化粧品の種類や求める輝きの種類に応じて様々なガラス製品をラインナップしています。

これらの製品には、下記のガラス固有の性質とNSGのガラス技術が活かされています。

  • ガラス基材が透明で、純粋で無垢な発色が得られます。
  • 基材表面がフラットで乱反射が少ないため、強い光の反射による高い輝度感、白濁の少ない澄んだ粒子感が表現できます。
  • 肌にも環境にもやさしい化粧品へのニーズを反映し、100%自然由来の厳選された原料を用いたNSG独自のガラス組成で製造されています。
メタシャイン®
マルヴィナ®

スタイリッシュな自動車のための複雑なガラス成型

1990年代以降、自動車デザインは、視認性を最大限に高めながら複雑な形状や曲線美を追求してきました。

高度なガラス成形技術は、自動車メーカーのスタイリングコンセプトを実現する上で重要な要素となっており、グレージングが有する曲線や角度は、自動車の印象を決定づけるエッセンスになっています。

私たちは、新車開発の初期段階からスタイリストやエンジニアと密接に連携し、お客様が求めるユニークなデザイン特性をガラスに反映させると同時に、ガラスコンポーネントの最適な性能と製造仕様の定義づけをサポートしています。

NSGグループは、ガラスの成形技術を絶えず革新しており、複雑なガラス形状による自動車のスタイリングと設計の要求に応えています。

自動車用の複雑形状ガラスの例

※この写真は無断転載を禁じます

車両スタイリングデザインに貢献する自動車用ガラスの例

※この写真は無断転載を禁じます

美しい建物

ガラスが長年にわたり、世界中の建築家にインスピレーションを与えてきたのも不思議ではありません。ガラスは、建築物や室内空間の美観や形態に影響を与えるものです。

外装用ガラス(ガラスファサード)

ガラスや窓の細かなデザインは、その建物を最も印象づけるものです。ガラスはファサードとして多くの要求機能を持つ一方で、透明性、立体性、可変性、機能性などの特性を活かして、建物を芸術的なオブジェに変える役割も持っています。

ガラスが特徴的なのは、ガラスが有する機能性を維持しながらも、変形し、それにより新たな特性を獲得する能力です。この変幻自在の機能性こそが、今日、ガラスが多くの建築家に選ばれる理由なのです。 ガラスは屋内空間と屋外をつなぎ、人々が生活する空間を形作ります。 ガラスの加工技術の向上とデザイナーの創造性により、建築物のデザインはより複雑で堅牢、かつ豊かなものとなっています。 ガラスは今や、建物の景観を決定づける要素であると同時に、建築デザインのインスピレーションの源にもなっているのです。

© Floto + Warner

室内インテリア用ガラス

トリノのエジプト博物館において、 低反射合わせガラスオプティビューが展示に使用されています。オプティビューや高透過ガラスオプティホワイト®は、多くの美術館の展示に使用されています。これらの製品は、色の変化を最小限に抑え、ガラスの反射を大幅に低減させることで、視認性を高め、作品をありのままに展示し、芸術体験をより豊かにする重要な役割を担っているのです。

© Pino & Nicola Dell'Aquila

ガラスのオブジェ

最後に、「ガラスはアートである」ことを示す作品を紹介しましょう。

「XIV-XYZ」は、ベルニーニのルイ14世の胸像を3Dモデリングソフトで抽象化し、ステンドグラスの伝統技法で半透明な鏡面ガラスで表現した作品です。どの角度から見ても、半透明から完全反射までの様々な表情を見ることができます。歴史に根ざしたオブジェでありながら、現在の環境とも調和した作品です。この作品は、アメリカ人アーティスト、ザック・ウェインバーグが、当社の高反射ガラスMirroViewを使用し制作されました。

また、ニューヨークのマンハッタンの金融街にあるニューヨーク証券取引所ビルの外にある「Fearless Girl(恐れを知らぬ少女)」というインスタレーションに、私たちのガラスが使用されたことも大変名誉なことです。

このディスプレイは、世界中で女性が破り続けているガラスの天井を象徴しており、ガラスメーカーであるAgnora社と関係者全員による素晴らしい作品です。

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