健康と安全
NSGグループの安全プログラムは、グループのビジョンとバリューに重点を置いています。すなわち、人材が最も大切な資産であり、従業員と当社の事業を支えてくださるすべての皆様の安全は、グループの事業精神の中核となるものです。
詳細はNSGグループ 安全衛生ポリシーをご覧ください。
安全組織と戦略
NSGグループの安全衛生を統括するサステナビリティ統括部長は、細沼宗浩社長兼最高経営責任者(CEO)の直属部下です。
安全実績の最新データを毎月オペレーショナルパフォーマンスレビュ―会議に提供するとともに、半年ごとに4つの事業部門の部門長とグループファンクションの部門長で構成されるシニアオペレーションチームで、より詳細な安全実績のレビューを行います。
全ての労働災害は回避可能と考えられます。NSGグループでは、どんなに小さな事故でも全て報告し、適切な調査を行い、それらの災害から教訓を学んでいます。重大災害率が所定の値を上回る事業所は、特に重点的に追加のサポートや定期レビューの頻度を増やして対処しています。
災害の根本原因の解析レベルの向上は、安全を改善する戦略の基本です。事故や災害の原因を特定することで、グループのオペレーションを長期的に改善することができます。この改善に向け、NSGグループは、EcoOnline社の新しい報告・調査ツールAVAを2020年に導入しました。
このシステムは、段階的なアプローチで機能の改善を図っていきます。AVAの次のステップとして、NABISプログラム(NSG安全文化改善戦略)をさらにサポートするために、行動観察と監査システムを導入の準備を進めてきており、2026年3月期末までに、新しい機能が追加されたAVA2.0が稼働する予定です。
2024年の安全実績
2024年7月29日に日本の千葉事業所で、フロート窯の排ガスを処理する設備において、生成された高温の芒硝の粉が崩れ3名の従業員が埋まり、うち一人の従業員が死亡するという、非常に痛ましい事故が発生しました。亡くなられた従業員のご冥福を祈るとともに、ご家族や関係者の皆様にお悔やみを申し上げます。
日本板硝子グループでは、この重大な労働災害を機に、閉鎖空間に立ち入るリスクの高い作業の全てを洗い出し、リスクアセスメントを実施し、適切なリスク低減活動及び、緊急救助体制を含む、非常時の対応策をあらかじめ準備することに取り組みを始めました。
また、いかなる死亡災害も二度と再発させないという決心のもと、すべての高リスク作業を改めて洗い出しました。ここで挙がった高リスクに対する対応や改善に、漏れやばらつきが無いことを確実に実施するために、それぞれの作業に関する明確なガイドラインを作成し、すべての事業所で同等のリスク低減活動を実施するための取り組みを開始しました。
2023年3月期から開始した車両と歩行者に関する安全対策は、主に車両と歩行者の物理的な分離、及び車両積載カメラシステムやTAGシステムなどの衝突回避システムの導入を進めてきました。今後も継続して導入を加速していきます。
重大災害度数率(SIR)は、専門的な医学治療を必要としたり、同じ業務を継続できず、業務にロスが発生する災害の度数率で、労働時間20万時間当たりの発生件数で定義されます。2025年3月期のSIRは2024年3月期対比で3%減の0.31となりました。引き続き現場ウォーク*を中心とするリーダーの指導とコミュニケーションの強化により、不安全行動を減らしていきますが、2025年度は特に経験の浅い作業者への教育訓練及び、ルール遵守に重点を置いて活動を進めていきます。また、2024年度の後半からは、CCTVカメラ+AIをリスクの高い場所に優先的に設置し、CCTVカメラ+AIにより、危険行動や危険状態を自動的に検出するシステムの導入を開始し、すでに稼働を始めています。このシステムの導入により、従業員の安全行動の実行とリーダーたちの現場管理をサポートしていきます。
*現場ウォーク:管理職が作業現場に赴き安全管理状況を確認するとともに、現場作業者とのコミュニケーションを通じて職場の安全上の課題を見つけ改善していく活動のこと。
NSGグループの安全への取り組み
NSGグループでは、「NABIS(NSG安全文化改善戦略)」と呼ばれる安全プログラムを通じて、積極的な安全活動を推進しています。NABISは、リーダーシップ、責任とアカウンタビリティ、コミュニケーション、トレーニング、参画(インボルブメント)の5項目から構成されています。
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リーダーシップ
事業のあらゆるレベルのリーダーは、現場ウォークなどのプロセスを利用して、様々な改善機会について、現場リーダーや従業員と話をする時間を増やすことなどにより、リーダーシップを目に見える形で行動に表すように求められています。
現場ウォークプロセスをさらに改善するために、グループは現場ウォークの実施回数を測定し、プロセスから得られる情報を確認しています。全てのリーダーは、10の主要なリーダーシップ行動原則と照らして自身の行動を評価することを求められています。また、リーダーは従業員に模範を示して指導することや、例えば、危険な行為について当事者に指摘することなく通り過ぎてはならないといった行動原則が、その部門で守られているかどうかをレビューすることが求められています。
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責任とアカウンタビリティ
リーダーには、従業員が割り当てられた職務を遂行する上で、決められた手順や安全規則に従わせる責任があります。リーダーは、業務を適切に遂行するための従業員の能力について、継続して評価することが求められます。また、すべてのリスクの特定、およびリスクの定量評価を推進しています。
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コミュニケーション
従業員とリーダーによる双方向の対話や安全会議などの機会を通じて、安全に関するコミュニケーションの方法を改善していくことは、災害に対する予防的または事後の安全対策に関する明確な情報を共有する上で重要です。全てのリーダーは、効果的にコミュニケーションプロセスを確保するよう求められます。NSGグループは、建築、自動車、クリエイティブ・テクノロジーの大規模な製造拠点で実施する安全文化調査を2023年3月期に導入し、2025年2月に二度目を実施しました。この調査は、各工場の安全文化の現状をリーダーチームにフィードバックするもので、加えて、従業員が匿名で工場の改善に役立つコメントや提案を提供できるようにするものです。
一部の地域や国では、グループは従業員組合と正式なコミュニケーションや話し合いを行っています。例えば、ヨーロッパでは、ドイツ、スペイン、イタリア、フィンランド、イギリスなどの組合と6カ月ごとにフォーラムを開催しています。
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トレーニング
安全のコミットメントを果たすには、仕組みとそれを使うための十分な能力が必要です。そのため、各従業員の能力、および必要とされるトレーニングについて、継続的に見直す必要があります。リーダーは、従業員が与えられた作業を安全に行うための正しい知識を持っていることを確認することが求められています。
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参画(インボルブメント)
NABISでは、リーダーに、職場の従業員が安全プロジェクトに参加する機会を与えるように求めており、例えば、現場での改善提案制度の導入や、大規模な設備改善や工程改善プロジェクトへの参加などがあります。
また、従業員が全員参画する機会として、毎年10月に、NSGグループ安全の日を設定し、グループ全員で、安全について考える日としています。昨年は10月10日に全世界の拠点で関連イベントが実施されました。
昨年の共通テーマは「(基本に立ち返る)エンゲージメント」でした。我々の目指す安全文化である、「相互啓発」に対して、従業員全員で取り組むことを再確認するために、各地の事業所において全員参加で安全活動が実施されました。
ドイツ ゲルゼンキルヒェン
日本 伊丹研究所
NABISでは、リーダーは高リスク作業に関する管理を求められます。
NSGグループは、上述したように、すべての高リスクな作業において、グループ全体で一貫したレベルの取り組みを実現するために、すべての高リスク作業の標準的なガイドラインを作成します。また、これまですでに取り組んできた下記の高リスク作業に関しても、継続して重点的に注力しています。
- 転落の危険がある場所での作業
- 車両と歩行者の安全
- 機械安全:ガード、FASS*、アイソレーション(エネルギー遮断)
- 協力会社の安全(許可証含む)
- 重量物の運搬:ガラスの移動、安全な積み荷の搬送、吊り用クランプ、台車、パレット
- 業務上の運転全般
*FASS (Frequent Access Safety System)は、インターロック等で装置を部分的に停止させる仕組み。
NSGグループの大規模工場に関するNABISへのコミットメントは、検証プロセスを実施することにより世界中で強化されてきました。これは、大規模工場から提出された自己評価スコアについて、グループ内の安全衛生の専門家がレビューを行うものです。このプロセスは、工場のリーダーシップ・パフォーマンス・レビューの一部となっています。
安全を次の段階に進めるために
安全に関する戦略は、従来通り安全管理ツールとプログラムの有効性改善に焦点を当て、NABISを中心とした活動を継続することで、高い水準の安全文化を達成することを目標としています。
同時に、以下の重点施策により、現場に潜在する高リスクの低減を推進します。
- 車両と歩行者の安全性に関して、これまでに実施したリスクの洗い出しをベースにさらなる改善を加速します。特にTAGシステムやカメラシステムの導入の拡大に焦点を当てます。
- 発生した重大災害(Significant Injury:SI)の中から、重篤なリスクを持つ出来事(VHPS:Very High Potential Severity)に焦点を当て、グループ内の全ての拠点で共通するリスクの低減対策を完遂します。
- CCTVカメラとAIの導入により、現場のリスクや危険な状態・行動の特定が可能となり、リスク低減活動と危険行動の削減を実現します。CCTVカメラ+AIシステムは既に高リスク現場から優先的に導入を開始しており、さらに導入を加速させ全社展開を進めてまいります。
※CCTVカメラ+AI:CCTVカメラの画像をAIでリアルタイムに解析し、あらかじめ設定した不安全行動を自動的に検出し、記録する
重大災害(SI)、休業災害(LTI)、死亡災害