安全・衛生
NSGグループの安全プログラムは、グループのビジョンとバリューに重点を置いています。すなわち、人材が最も大切な資産であり、従業員の安全および業務を行う上でのコミュニケーションはグループの事業精神の中核となるものです。
詳細はNSGグループ 安全衛生ポリシーをご覧ください。
従業員の重大災害度数率
■ 重大災害度数率 (SIR)

■ 重大災害割合 (%)

安全組織と戦略
NSGグループの安全衛生を統括するサステナビリティ統括部長は、最高執行責任者(COO)の直属になっています。
安全実績の最新データを毎月COOに提供するとともに、半年ごとに4つの事業部門の部門長とグループファンクションの部門長で構成されるシニアオペレーションチームで、より詳細な安全実績のレビューを行います。これらのレビューは2019年3月、10月および2020年3月に開催されました。
すべての労働災害は回避可能と考えられます。NSGグループでは、どんなに小さな事故でもすべて報告し、適切な調査を行い、それらの災害から教訓を学んでいます。重大災害率が所定の値を上回る事業所は、特に重点的に追加のサポートや定期レビューの頻度を増やして対処しています。
安全実績
安全性の向上において特に取り組んできたのは、リーダーシップ(特に第一線のリーダーに焦点)、Safety 4 Ways、高リスク作業の管理の主要な3つの領域です。これらの3つの領域を包括したNABIS(NSG安全文化改善戦略)と呼ばれる安全活動を通じて、NSGは積極的に安全対策を推進しています。
リーダーシップ
事業のあらゆるレベルのリーダーに対して、議論する機会の設定や現場巡視などの仕組みを利用して生産現場の改善についてリーダーやチームと話をする時間を増やすことなどにより、目に見える形で行動に表すことでリーダーシップを示すように求めています。最近では、それぞれの現場に合わせたコロナウイルス対応(感染予防対策)が加わりました。
すべてのリーダーは、10の主要なリーダーシップ行動と照らして自身の行動を評価することを求められています。そして、リーダーがチームに模範を示して指導することや、危険な行為について当事者に指摘することなく見過ごすことがあってはならないといった一連の原則に照らしてチームをレビューすることが必要になります。
リーダーには、チームのメンバーに、割り当てられた職務を遂行する上で決められた手順や安全規則に従わせる責任があります。リーダーは、業務を適切に遂行するためのメンバーの能力について、継続してレビューを行うことが求められます。
安全に関するコミュニケ―ション方法を改善していくことは、災害の直接的および予防的な安全対策に関する明確な情報を共有する上で重要です。それは、従業員とリーダーの双方向のブリーフィングやより正式な安全に関する会議などの定期的な機会を通して行われます。こうした取り組みは新型コロナウイルスの蔓延により困難に直面しましたが、離れたチーム同士がコミュニケーションを取るための革新的な方法が引き続き模索されており、また、事業所で働くチームに対するソーシャル・ディスタンスなどのルールも実施されています。リーダーたちは皆が効果的にコミュニケーションを取れる様にしなければなりません。従業員の教育は、顧客に対するサービス提供の基本的な部分です。安全かつ倫理的にコミットメントを果たす手段と能力を従業員が確実に身に付けられる様に、教育の必要性や能力に関する継続的なレビューと情報の更新が必要です。
リーダーは、NABISを通じて、安全の観点からチームのメンバーが業務遂行に必要な正しい知識を持つことができる様にすることを求められています。工場の安全について積極的に関わるよう従業員に求めることは、リーダーの責任のひとつであり、NABISでは、チームのメンバーが安全に関するプロジェクトに参加する機会を設定するようリーダーたちに求めています。多くの大規模工場で行われている安全に関する提案の実施や改善活動への参加などです。
NABISの2つ目の要素は、Safety 4 Waysと呼ばれる以下の4つの項目です。
- 安全改善活動(SIP)-災害につながる条件や作業を計画的に改善する活動を通じて、安全を阻害する要因やリスクを減らす。
- 重大ヒヤリ(IHPS)-すべての災害や事故を批判的に見つめ直し、一歩間違えばどうなっていたか、重傷や死亡事故につながる可能性はなかったかを問い、発生した要因を細かく分析して予防策を講じる。
- 重要安全行動(KSB)-頻繁なフィードバックを通じて、どのようにしたらリスクのある行動を減らし職務を遂行することができるかに重点を置いて取り組む。
- 年間重大災害度数率(SIR)-最優先で対応する安全指標。SIRは、医療または就業継続のために配置転換が必要な負傷について、労働時間200千時間当たりの災害発生件数で表されます。
2020年3月期のSIRは0.31を維持しました。
最後に、NABISでは、リーダーは高リスク作業に関する管理を求められます。
NSGグループは、高リスク作業削減プログラムの推進と安全ツールの拡充に真摯に取り組み、以下の分野に継続して重点的に注力しています。
- 転落の危険がある場所での作業
- 車両と歩行者の安全
- 機械安全:ガード、FASS※、アイソレーション(エネルギー遮断)
- 請負業者の安全(許可証含む)
- 重量物の運搬:ガラスの移動、安全な積み荷の搬送、吊り用クランプ、台車、パレット
- 業務上の運転全般
NSGグループの大規模工場に関するNABISへのコミットメントは、検証プロセスを実施することにより世界中で強化されてきました。これは、大規模工場から提出された自己評価スコアについて、グループ内のEHSの専門家がレビューを行うものです。このプロセスは、工場のリーダーシップ・パフォーマンス・レビューの一部となっています。
2020年3月期を通じて、NSGグループでは、すべての従業員がNABISプロセスに関わるという目標の達成に向け、NABISプロセスの小規模工場および事務所環境への導入計画を推進しました。
小規模工場向けNABIS:このNABISは、メインのNABISツールの項目を引き続き利用します。ただし、小規模工場向けNABISでは、より小規模な事業における業務上および管理上の異なる要求事項を考慮します。
事務所向けNABIS:このNABISは、製造機能を持たない間接部門や業務部門のためのものです。本社部門が特定したリスクに焦点を当てて、リーダーはチームを改善活動に参加させることを求められます。
根本原因の分析を向上させることは、グループの改善戦略の基本的な部分です。事故や災害の原因を特定することによってのみ、長年に亘ってグループのオペレーションを改善することができます。この改善に向け、重大災害(SI)および重大ヒヤリ(HPS)の報告プロセスに5Qプロセスを導入しました。事業所は、質問事項に従い、事業部門の地域のリーダーに長期的な改善活動に関する情報を提示します。
2021年3月期において、SIおよびHPSの報告の改善をさらに促進するため、NSGグループではグローバルな報告システムであるAIRSWEBを最新版のAVAへと変更します。今回の更新により、工場では、現場での問題の報告、考えられる改善策についてのレビューおよびその時点の従業員との議論、そして記録を一か所で行うことができます。さらに、このシステムにより、完了までのアクションの追跡がより容易になります。AVAの報告プロセスには、上述の5Qシステムが含まれます。
NSGグループ安全の日
NSGグループ安全の日が2019年10月11日に開催され、メンタルヘルスと健康の促進が焦点となりました。メンタルヘルスの問題に関する意識向上のため、世界中の工場が組織のすべての階層に向けて情報を発信し、教育を実施しました。NSGグループでは、第10回目の安全の日を2020年10月に開催します。新型コロナウイルスの予防策を確実に講じながら、従業員とともに安全の日を開催することが課題となります。
安全を次の段階に進めるために
安全に関する戦略は、従来通り安全管理ツールとプログラムの有効性改善に焦点を当てています。従業員とリーダーは、以下の取り組みを通じてさらに高い水準の安全性を達成していきます。
- より一貫性のある取り組みの推進、安全に関するスキルの向上、教育内容の改善を目的として、環境安全衛生部による安全管理ツールの監査を実施しています。この安全監査は、地域間、事業所間を跨いで行われ最大の効果を上げています。
- 安全文化を継続的に変革する手段として従業員の積極的な参加を推進します。
- グループ全体の安全に関するリーダーシップ水準の向上のため、第一線の現場監督者のさらなるレベルアップを行います。