サステナブルサプライチェーン
NSGのコミットメント
NSGグループはその経済的影響力を活用し、広範なサプライチェーン全体における炭素排出量の削減などの改善を通じて、より良い地球と社会の実現を目指しています。これは、NSGグループが掲げる「快適な生活空間の創造で、より良い世界を築く」というOur Visionを裏付けるものです。
サプライヤーの開発
私たちはサプライヤーと共に、当社の価値観を共有し、且つ最高水準のサプライチェーンとより広い社会的、経済的、環境的利益の達成を目指しています。
Eco Vadis(サプライチェーンのESGパフォーマンスを評価する外部機関)を通じてサプライヤーのESG評価指標(KPI)をモニターし、サプライチェーンの持続可能性を継続的に改善するよう努めています。Eco Vadisを通じてESG評価の対象範囲を拡大し、改善アクションプランを通じてサプライヤーと連携することで、環境、労働と人権、倫理、持続可能な調達の分野でのサプライチェーンの形成と改善を目指しています。
主要サプライヤーのEco Vadis評価のカバー率(購入金額ベースの加重平均による)は、図1に示すように、過去3年間で着実に増加しています。2024年の目標値である65%に対し、昨年は51.8%となり、昨年とほぼ同様の結果となりました。さらに、環境に大きな影響を与える可能性のある材料サプライヤーについては、「サプライヤーパフォーマンスとリスク管理手順」に従って、ISO14001または国内の同等の認証を取得するようもとめています。
図1
2022年度は、EcoVadisの低得点のサプライヤーにも注目し、スコア向上に向けて取り組みました。図2に示されるように、全体的な平均スコアは55から59に増加し、低スコアのサプライヤーの数が減少しました。この結果から、当社の戦略が成功していることがうかがえます。
図2
図3はEcoVadisの主要テーマである環境(ENV)、労働と人権(LHR)、倫理(ETH)、持続可能な調達(SUS)の項目別スコアを示したものです。昨年に比べて低スコアのサプライヤー数が減っており、サプライヤースコアリングの改善を見ることができます。
図3
環境に対して大きな影響を与える可能性のあるサプライヤー(HEI:High Environment Impact)には特別な注意を払っています。目的は、これらのサプライヤーが環境に与えるマイナスの影響を最小限に抑え、プラスの活動を積極的に推進してもらうためです。対象範囲は、木材梱包、ガラス材料、廃棄物処理事業、請負業者、化学物質等のHEIに分類される13の原材料カテゴリーです。これらのカテゴリーに属するすべてのサプライヤーは、サプライヤー行動規範に署名して遵守し、ISO14001またはこれに相当する国内の環境認証の取得および/またはEcoVadisの評価を受けることが望まれます。木材、紙および段ボール梱包材に関しては、その原材料の供給先についての森林管理協議会(FSC:Forest Stewardship Council)またはPEFC森林認証プログラムによるCoC(Chain of Custody)認証の取得を求めることにより、これらのサプライヤーが環境に与えるマイナスの影響を最小限に抑えるよう努力しています。ISO14001や森林認証の取得、EcoVadisスコアなど環境面におけるサプライヤーのコンプライアンス状況、及びIATF16949やISO9001など品質面におけるサプライヤーのコンプライアンス状況は、図4の通りです。
ESG目標とトレーニング
NSG調達チームは、執行役から一般社員にいたるまで、上記に記載したサステナビリティ活動に関連するS.M.A.R.T(Specific, Mesureable, Achievable, Realistic, Timely)の目標が設定されています。調達チームをサポートするために、当社は継続的な教育とトレーニングを提供しています。 調達チームメンバーは、NSGの事業が誠実かつ倫理的に行われることを保証するために重要な役割を果たすと考えられています。ナレッジテストを含む定期的なオンライントレーニングは、大部分の調達の役割に必須であり、NSGの倫理規範、贈収賄および腐敗防止(ABAC)、競争コンプライアンス、そして最近では詐欺およびISセキュリティの教育が含まれます。次の図は、トレーニングモジュールと進捗状況のリストを示しています。
さらに、当社の長期的なパートナーであるEcoVadisの支援を受けて、プラットフォーム機能に関する実践的な支援を含む正式なESG意識向上トレーニングセッションを実施しています。
図5
サステナブルサプライチェーンに対する戦略的なアプローチ
2022年、当社はサプライチェーンにおける持続可能性へのアプローチ方法を変革するプロジェクトを開始しました。
このプロジェクトの目的は、
- サプライチェーンのサステナビリティ戦略をNSGグループのサステナビリティ目標に整合させる
- 少なくとも、お客様の期待に応え、当社が事業を展開するすべての地域の法的要件を遵守するようにする
- NSGがサプライチェーンにおける持続可能性のリーダーとして認識されるようにする
- NSGの人材の獲得と維持を支援する
- 国際規格、ISO 20400:持続可能な調達の原則に従う
ことにあります。
従って、最初のステップとして、持続可能なサプライチェーンの確立と開発の一環として、当社の目的とコミットメントの要点をまとめたサプライヤー憲章の策定に取り組んでいます。サプライヤー憲章には、サプライヤーに要求されるコミットメントと進捗状況を測定するために使用するKPIも記載されています。
また、スコープ3炭素排出量の、30%削減目標に向けた取り組みも加速させています。調達におけるESG目標の成熟度は、図6に示す通りです。
この活動では、部門横断的な取り組みが必要であり、各部門から多くのメンバーが参加しています。CEOが議長を務めるグループ全体のサステナビリティ委員会において報告・進捗管理されています。
図6
FY22における外部評価
ESGの分野における改善に向けた当社のサプライヤーとの協働努力が、外部からの評価で支持されたことを大変嬉しく思います。当社は、CY21における最新のCDP評価で、サプライヤーエンゲージメントのリーダーとして認められました。これは、日本の105社を含む、世界中のトップ500企業(合計13,000以上の評価対象企業のうち)にランクインするものです。 CDPは、投資家、企業、都市、州、地域に対し、気候変動、水の安全保障、森林伐採に対する環境へのインパクトを管理するためのグローバル・ディスクロージャー・システムを管理している非営利団体です。
当社は、EcoVadisを利用することにより、当社の調達基盤を評価するだけでなく、当社の顧客と投資家をも代表して評価を完成させています。「持続可能な調達」というテーマにおいて、当社はスコアを100ポイント中60ポイントから70ポイントにまで引き上げ、12か月で16%の大幅な改善を達成しました。