倫理・コンプライアンス
透明性を
すべての
行動に
倫理・安全・品質はNSGグループが持続的成長を遂げていくために欠くことができない要素です。
NSGグループは、取締役会において定める「内部統制システムの構築に関する基本方針」に基づき 、グループ倫理・コンプライアンス部を設置し、倫理・コンプライアンスプログラムを実施しています。
倫理・コンプライアンス部は、倫理・コンプライアンスに関するリスクを評価、分析し、当社グループの企業価値の維持・向上を確実なものとするため、戦略目標に即して倫理・コンプライアンスプログラムを設計しています。
倫理・コンプライアンスは、2025年3月期に発表された中期経営計画において、安全・品質に並ぶマテリアリティとして位置付けられています。2030年3月期の目指す姿として、倫理・コンプライアンスプログラムの定期的な改善によりグループリスクに対処し、ステークホルダーの皆様とのパートナーシップとその信頼を獲得することを掲げています。この目指すべき姿を見据え、2027年3月期に向けた経営指標を設定しました。具体的な目標については、以下の各章をご覧ください。
倫理規範と教育
NSGグループ倫理規範(以下、「倫理規範」)は、法令やすべての主要なグループポリシー、プロシージャー、ガイドラインの遵守等に加えて、職場の従業員に期待される倫理的行動を幅広くカバーしています。倫理規範は、グループで使用される19の言語すべてに翻訳されています。
新入社員導入教育では、倫理規範のみならず、利益相反、詐欺行為防止、情報セキュリティについてもカバーしています。2022年3月期以降は新入社員のみならず既存の従業員に対しても、情報セキュリティ教育を義務付けています。競争法遵守、贈収賄・汚職防止の「キーロール*」は、それぞれ関連するオンライン教育についても完了させる必要があります。
当社グループの従業員は、主にオンライントレーニングプラットフォーム「NSG Learn」を活用して研修プログラムを受講します。オンライン研修については受講動向だけではなく、その有効性についても継続的にモニタリングしています。
*競争法遵守(CC)および贈収賄・汚職防止(ABAC)に関しグループが定める基準を満たす従業員
852(2025年3月期)
名の新入社員が、導入教育を修了しました。
4332(2025年3月期)
名のキーロールが、競争法および/または贈収賄・汚職防止に関するトレーニングを修了しました。
2025年3月期に実施した年次教育では、対象社員の100%が当該教育を修了しました。当社グループは、2027年3月期に向けた目標の一つとして、対象者の倫理・コンプライアンス教育受講率100%を達成することを掲げています。受講完了率100%を継続して達成できるよう引き続き取り組んでまいります。
倫理・コンプライアンス推進体制
グループ倫理・コンプライアンス部は、当社の監査委員会に対して直接の報告ラインを有します。同部門の責務には、総合的な倫理・コンプライアンス制度の策定、実施および維持管理に加えて、当該分野におけるポリシーおよびプロシージャーの作成・見直しが含まれています。グループ倫理・コンプライアンスオフィサー(CE&CO)のもと、グループ倫理・コンプライアンスディレクターがグループの倫理・コンプライアンスプログラムを統括し、グループ全体に倫理・コンプライアンスの文化を浸透させるとともに、各地域固有のリスクを管理するため、欧州、北米、南米およびアジアのそれぞれに地域担当マネージャーを任命し、体制を整えています。
2025年3月期には、倫理・コンプライアンスプログラムの監督およびその有効性のさらなる向上を目的に、CE&COを委員長として、CEOをはじめとする経営陣から構成される倫理・コンプライアンス委員会を設置し、同委員会を2回開催しました。
グローバル倫理ネットワークは、当社グループ全体の倫理的なカルチャーを一段と高め、コンプライアンスリスクをモニタリングすることを目的としています。倫理ネットワークは、地域の「倫理アンバサダー」に任命されたシニアマネージャーと、「倫理チャンピオン」によって構成されます。両者は、担当する地域や部署で倫理・コンプライアンスを主導・推進することで、倫理規範を普及・促進させるための重要な役割を担います。また、倫理規範がビジネスに根付くことのサポートも行います。倫理・コンプライアンス部は、倫理アンバサダーや倫理チャンピオンと連携を図りながら、各地域の事業部門や部署の担当者とより直接的なコミュニケーションを図ることが重要と考えています。
上記の推進体制のもと、NSGグループは倫理・コンプライアンスプログラムの設計、実施および改善を行っていますが、プログラムのさらなる改善のため、プログラムに対する従業員の認識を把握することが重要であると考えています。そのため、2027年3月期に向けた数値目標として、倫理・コンプライアンスプログラムに対する従業員からの評価につき、90%以上の好評価を得るという目標を設定しています。
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名の倫理アンバサダーが当社グループの事業部門や部署に所在
倫理・コンプライアンスに関するコミュニケーション
当社グループは、2022年3月期から毎年倫理・コンプライアンスウィークを実施しています。この目的は、当社グループのビジネスにおける倫理・コンプライアンスの重要性に対する認識を高めるとともに、倫理・コンプライアンスへのコミットメントを再確認することにあります。経営陣のメッセージビデオ、曜日ごとの情報発信、各地域における取り組み、関連オンライン教育を含む様々な企画をグループ全体で行っています。2025年3月期のテーマは「Transparency In All That We Do(透明性をすべての行動に)」で、NSGグループにおける透明性とは何かに焦点を当て、グループの価値観や行動に沿ったかたちで透明性を根付かせていくにはどうすべきか、考え実践していくための取り組みを行いました。
また、2026年3月期のテーマは「Code of Ethics」です。今年度改定される新たな倫理規範を周知するとともに、当社グループに対する評価を守り、事業として確実に成功するために、従業員が倫理的行動を実践していくにはどうすべきか考える取り組みを行う予定です。
なお、2025年3月期には、上記の倫理・コンプライアンスウィークにおける経営陣のメッセージビデオを含め、トップレベル(CEO、CXOs)による倫理・コンプライアンス関連のコミュニケーションを年に4回行いました。また、倫理・コンプライアンス部の各地域担当マネージャーが、グループの各主要事業所を訪れ、現場の従業員に対してより直接的なコミュニケーションを図る取り組みを実施しました。
グループ倫理・コンプライアンス部は、従業員に対して、倫理・コンプライアンス短信を定期的に発行しています。グループコミュニケーションチームは、その内容を複数言語に翻訳し、すべての事業所に回付しています。また、倫理・コンプライアンス短信は、グループのイントラネット上にも掲載されます。加えて、倫理・コンプライアンス部の各地域マネージャーは、担当する地域の従業員向けに、各地域版の倫理・コンプライアンスニュースレターを発行しています。
グループ倫理・コンプライアンス部は、職場環境のさらなる改善、ひいては業績向上に繋がるという企図から、倫理・コンプライアンスホットラインシステムを通じて報告された案件内容について、秘密保持に配慮しながら、事業部門長や人事部長と共有します。
人権の尊重
NSGグループは、世界中の多くの国で事業を展開する国際企業であり、世界のビジネス文化や慣習が多様であることを認識しています。当社グループの人権尊重の姿勢は、ポリシーおよびガイドライン上だけではなく、事業運営の仕方にも反映されます。当社グループは、国連世界人権宣言、労働における基本的原則及び権利に関する国際労働機関(ILO)宣言、国連ビジネスと人権に関する指導原則(UNGPs)、国連グローバル・コンパクト(関連条約を含む)に則り、人権を尊重します。
NSGグループは、2024年3月期に人権ポリシーを制定し、より具体的に当社グループの事業に関わる人権課題を特定し、それぞれの課題に対するコミットメントを明確化しました。(詳細はこちら)
さらに、2026年3月期には、倫理・コンプライアンス委員会で当社グループにおける特に重要な人権リスクを、ジェンダー平等・平等な待遇・ハラスメントと特定しました。これらを含めた人権課題に対し、以下の対応を行いその責任を果たしています。
- トレーニングと意識向上: 当社グループでは、従業員に対し人権課題とポリシーに関する定期的なトレーニングを実施し、組織のあらゆるレベルで意識と理解向上に努めています。
- モニタリングと報告: 当社グループは、事業活動およびサプライチェーンを継続的にモニタリングし、人権に関するコミットメントの遵守を確認しています。人権に関する懸念事項がある場合には、当社グループの機密性の高い「NSGグループ倫理・コンプライアンスホットライン」等を通じて報告することを奨励しています。
- 協働: 当社グループは、政府、NGO、同業他社を含むステークホルダーと協働し、人権基準の推進と尊重に努めています。
- 継続的な改善: 当社グループは、変化する人権基準に対応するため、ポリシーや慣行を定期的に見直し、更新することで、継続的な改善に取り組んでいます。
NSGグループは、人権尊重は単なる法的義務ではなく、道徳的義務であると捉えています。当社グループは、従業員、お客様、地域社会の生活にポジティブな影響をもたらすことを目指し、最高水準の倫理規範を自らに課しています。
利益相反事項の開示
倫理規範の下、すべての従業員はグループの利益のために行動する責任があります。従業員は、利益相反を実際にまたは潜在的に引き起こす可能性がある活動や投資について開示する必要があります。グループ倫理・コンプライアンス部は開示されたすべての内容をレビューし、必要があると判断した場合には関連する事業部門や部署の責任者と議論します。また、報告者に対しては必ずフィードバックを行い、場合によっては、利益相反状態を軽減するためのプランも提供します。
競争法遵守、贈収賄・汚職防止に向けた取り組み
NSGグループは、競争法遵守、贈収賄・汚職防止といった当社グループ事業におけるハイリスク分野について、ポリシー、プロシージャー、マニュアル等の規程を制定し、運用しています。これらの規程では、当社グループが事業を展開するすべての国における関連法令を遵守のうえ、業務を遂行することを確実にするため、それぞれ禁止される行為の具体的類型や遵守の必要性、重要性、違反した場合の効果や影響等、幅広い事項について定めています。
2025年3月期における競争法および贈収賄・汚職に関する違反は0件でした。当社グループは、2027年3月期に向けた倫理・コンプライアンス目標として、競争法、贈収賄・汚職関連法違反にかかる課徴金納付件数を引き続き0とする数値目標を設定しています。
上記の「倫理規範と教育」においても記載のとおり、競争法遵守および贈収賄・汚職防止に関しグループが定める基準を満たす従業員はそれぞれについてキーロールとして認定され、入社時のみならず、毎年、関連法令および規程に関する内容を含むオンライン教育を完了させる必要があります。
さらに、従業員の行動の透明性を確実にするため、当社グループは、競争法遵守および贈収賄・汚職防止に関して従業員に報告を求めています。グループ倫理・コンプライアンス部がオンライン報告システムを一元的に管理し、そこでは、幅広く、競業他社との接触、業界団体への参加といった競争法リスクに関する事項、ならびに慈善寄付、一定の金額の贈答、接待、第三者とのビジネス、および公務員との接触等の贈収賄・汚職リスクに関する事項、について報告またはグループ倫理・コンプライアンス部の承認を求めます。具体的な申請や報告については、関連する倫理・コンプライアンス部の地域担当マネージャーが、それぞれの地域や国におけるリスクを考慮のうえ、確認、承認します。
NSGグループは、贈収賄・汚職防止に関して一定のリスク基準に該当する約500の第三者(エージェント、コンサルタント、合弁事業のパートナー等)をモニタリングしています。このプロセスには、デューディリジェンス、評価、および評判に関するスクリーニングを含みます。
懸念事項報告 - 倫理・コンプライアンスホットライン
NSGグループは、研究活動における不正行為を含む、法令、グループ倫理規範、ポリシー、プロシージャーまたはガイドラインに違反する、あるいはその違反が疑われる行動について、従業員が報復を恐れることなく報告できる環境を整備しています。この目的のため、懸念事項を報告するための簡易かつシンプルな手段として、倫理・コンプライアンスホットラインを設けています(なお、従業員には、まず上司や人事部等の関連部門に報告することを推奨しています)。
当該ホットラインについては、社外のステークホルダーの皆様も利用可能です。
| ホットライン |
社外の人も利用可能 |
| 匿名での報告も可能(法令で禁じられている場合を除く。) |
| 24時間、365日、多言語対応 |
| フリーダイヤルを用意 |
| 誰でも質問可能 |
| 第三者機関による運営(機密性確保) |
部下や同僚等から報告を受けた管理職は、その報告内容が当社グループに法的もしくは経済的に悪影響を及ぼす可能性がある、または当社グループの評判を害する可能性があると考えられる場合、所定の報告フォーム(マネージャー報告フォーム)を提出するか、グループ倫理・コンプライアンス部に直接報告する必要があります。
2013年3月期に運用を開始してから、倫理・コンプライアンスホットラインシステムを通じて、1252件の懸念事項が報告されています。2025年3月期には、265件の懸念事案が、倫理・コンプライアンスホットラインおよびマネージャー報告フォームを通じて報告されました。引き続きベンチマークとの差異分析を踏まえ、懸念事項報告・相談内容や傾向を考慮し、必要な施策の検討、実施を進めてまいります。
なお、2025年3月期には、職制(マネージャー報告フォーム)を通じた報告は、懸念事項報告総数の32%でした(前年より5ポイント上昇)。職制を通じた報告・相談は職場における風通しの良さを一定程度示す指標として、懸念事項報告全体に占める割合30%をベンチマークとして掲げています。こうした職制を通じた報告・相談を含めた懸念事項報告制度について、引き続き社内アナウンスメントやニュースレターを通じ、周知してまいります。
NSGグループは、地域ごとにベンチマークとの対比を行うことで、ホットラインシステムの有効性を絶えず検証しています。
過去数年、懸念事項の報告件数は増加傾向にあります。この背景としては、①関連する社内ポリシーの制定・改定、②上述のニュースレターやオンライン教育等の様々なツールを通じて、ホットラインを含む懸念事項報告相談システムを継続的に周知してきたこと、等が挙げられます。当社グループはさらに、2027年3月期に向けた数値目標として、事実として確認された懸念事項報告率を45%以上にすることを掲げています。上記の取り組み等により、一定の報告件数("量")が得られるようになった次のステップとして、報告の内容("質")に着目することにしました。なお、2025年3月期において、事実として確認された懸念事項報告率は37%、一部事実として確認された懸念事項報告率は16%でした。もちろん、報告された内容が事実として確認されなくとも、報告されること自体が重要です。一方で、事実として確認された報告の割合にも着目することで、より効果的に問題に対処できる環境・体制づくりを引き続き目指してまいります。
NSGグループは、2021年3月期に、倫理・コンプライアンスポリシーや懸念事項の報告相談に関するポリシーを改定し、上述の管理職の報告責任や報告案件の調査・フォローアップのプロセスをより明確化しました。また、併せて「報復禁止および報告者保護に関するポリシー」を制定し、懸念や事実を真摯に報告した個人に対しては、いかなる形での報復も許されないことをより明確に規定しています。2027年3月期に向けた数値目標として、懸念事項報告に対する報復件数を0にすることを掲げています。2025年3月期では1件の報復案件を確認しました。当社グループの従業員やステークホルダーの皆様が報復を恐れることなく、真摯に懸念事項を報告できるような取り組みを実施してまいります。
当該グローバルホットラインは、当社および日本国内のすべての連結子会社においては、2022年6月1日に施行された日本の改正公益通報者保護法に基づく内部公益通報の受付窓口に相当します。
当社グループは、風通しのよい企業風土をより高め、「すべての行動に透明性を」もたらしていけるよう引き続き努めます。
経営会議、監査委員会への報告
グループ倫理・コンプライアンス部は、定期的に、または必要に応じて、経営会議のみならず、独立社外取締役によって構成される監査委員会に対して、上記の倫理・コンプライアンスプログラムの実施状況や進捗、課題について報告しています。