リスクマネジメント
基本的な考え方
当社グループは、経営指針「Our Vision」と整合し「中期経営計画(RP24)」に沿って、持続的成長による企業価値の向上を目指しています。一方で、新型コロナウイルス感染症の世界的な流行を受けて、当社グループを取り巻く事業環境はますます複雑でダイナミックな変化を見せています。この様な当社グループの事業目標の達成に影響を及ぼす内部、外部要因による不確実性をリスクと捉え、マイナスの影響を最小化し、プラスへの結果を最大化するため、重要なリスクについて識別、評価し確実に管理するリスクマネジメントは重要な経営基盤の一つと位置付けています。
そして、適切なリスクマネジメントをグループ全体に体系的かつ組織的に展開することで、直近の事業目標の達成はもとより、事業戦略の遂行を確実なものにしたいと考えています。なお、当社グループのリスクマネジメントは、会社法に基づき取締役会で決議された「内部統制システム等に関する基本方針」に準じています。企業活動上発生するリスクへの具体的対処については社内規定「リスクマネジメントに関するグループポリシー」を制定し、COSOのエンタプライズ・リスク・マネジメントモデルや国際規格ISO31000「リスクマネジメント-原則および指針」との整合性も確保しています。
将来を見据えて、改訂コーポレートガバナンス・コードの要請に対応するため当社グループのリスクマネジメント体制を見直し、その原則が十分に満たされていることを確信しています。それだけでなく、基準の改訂やリスク環境の変化に対応して、体制を継続的に改善していくように心がけています。
推進体制
当社グループのリスクマネジメント体制は、日々の業務のなかに十分に活かされ、「3つの防衛線」として機能するようになっています。1つ目の防衛線は、日々の業務として当社グループの全ての業務内に存在するリスクを識別、評価、管理し、リスクを統制、軽減する事業部門や本社機能のなかにあります。2つ目の防衛線は、業務やリスクマネジメントの方針や基準を制定するだけでなく、効果的なリスク統制を監督する本社機能および経営陣により構成されます。3つ目の防衛線は、独立して統制の有効性やリスクマネジメント手続きを評価するグループ内部監査部により設定されます。
エンタプライズ・リスク・マネジメント体制の中心として、当社グループのリスクマネジメントは、経営会議のもとに、戦略的リスク委員会(SRC)とエンタプライズ・リスク・マネジメント(ERM)チームからなる二層体制を敷いており、取締役会への報告を実施しています。
戦略的リスク委員会(SRC)においては、最高リスク責任者(CRO)を委員長とし、 CEOを含む執行役等のメンバーにより構成されています。戦略的リスク委員会(SRC)はエンタプライズ・リスク・マネジメントに関する方針およびフレームワークを決定し、それに基づき、 (a) 当社グループに重大な影響を及ぼし得ると評価されるハイレベルリスクと、 (b) 事業部門や各ファンクション部門において管理すべき事業リスクについて識別、分別した上、その対応措置の現況についてモニタリングを行い、不備のある場合は追加の対策を要請します。ハイレベルリスクについては戦略的リスク委員会(SRC)においてリスクオーナーを定めてリスク情報の収集、対応策の進捗について管理しています。
CROは、戦略的リスク委員会(SRC)の全ての会合を主宰し、また本委員会を代表し、当社グループの内部統制の基本システム及びリスクマネジメント体制の有効性等について経営会議及び監査委員会に対し、定期的に報告を行いそのレビューを受けています。
2021年3月期は戦略的リスク委員会(SRC)を3回開催し、経営会議、監査委員会には1回ずつ報告しました。
ERMチームはCFOを委員長とし、メンバーである各事業部門長および経理・財務・人事といったファンクション部門長から構成されます。毎年それぞれの業務の遂行に付随する重要なリスクについて識別、評価、優先順位付けを行い、必要なリスク低減策を講じることでリスクマネジメントの実効性の向上を図っています。その活動について、戦略的リスク委員会(SRC)に定期的に若しくはその要請に応じて報告しています。
内部監査部門は、このような全社のリスク管理や個別のリスク低減策の効率性に関し、独立した立場からアシュアランスを提供する役割を持ちます。
また、リスクの移転や共有として、「NSGグループ保険に関するプログラム」を制定し、戦略的リスク委員会(SRC)の監督の下、自然災害による損失等の保険可能なリスクを把握し、費用対効果の高い保険に切り替えるなど、グローバル保険プログラムにより、毎期、包括的な保険付保をグループレベルで見直しています。
当社グループが主な対象とするリスク
2021年3月期において戦略的リスク委員会(SRC)が評価し、モニターする重要なリスクについて、優先順位付けを行い、以下の表の通り選定しました。各リスクのリスクオーナーには担当執行役を決め、責任を持って適宜適切に対処していきます。
モニターしている各々の重要なリスクに対して、戦略的リスク委員会(SRC)は、十分な軽減措置が実施されているか、実施に向けて対応中なのかを決定し、当社グループ内にあるリスクを管理しました。
リスク名称 |
1. 事業継続リスク |
2. サプライヤ―に起因する出荷契約不履行 |
3. サイバーリスク |
4. 重要顧客の競争力喪失 |
5. 経済情勢リスク |
6. 財務リスク |
7. 品質に関わるリスク |
8. 気候変動リスク |
9. 政治的、財政的リスク |
10. 人材不足 |
11. 技術革新の動向把握と対応 |
12. 事業戦略リスク |
13. コンプライアンスリスク |
14. 法令、規制の新設変更に伴うリスク |
15. 知的財産リスク |
16. 組織風土変革に失敗するリスク |