経営戦略と人材戦略との連動

NSGグループでは、2018年に設定された経営指針「Our Vision」に基づき、グループの持続的な成長と中長期的な持続可能な社会への貢献を実現するために、「人的資本」を重要課題(マテリアリティ)の一つとして取り組んでいます。人材は「資本」であり、企業が事業を継続し、成長していくためには欠かせない存在です。NSGグループでは、社員が成長し発展していくためには、強固な企業文化、効果的な人事制度、職場環境が不可欠であると考えています。これが「人的資本投資」の目的であり、CHROおよび世界中の人事部門の役割は、こうした投資の効果と効率性を高め、事業目標の達成に必要な成長を継続的に推進することです。

NSGグループは、中期経営計画を支える人材戦略を策定しました。この戦略には、4つの鍵となる施策があります。

  • 人材の獲得
    優秀な人材を引き付ける能力を強化します。
  • ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン
    包括的な環境を構築し、競争上の優位性の源泉を創出します。
  • HR デジタル
    社員を中心に据えたエコシステムを構築し、正確なピープルアナリティクスを提供して意思決定を迅速化し、すべての人の時間を節約します。
  • 従業員に対する提供価値
    なぜ入社するのか、なぜ居続けるのか、なぜパフォーマンスを発揮するのかという問いに答えます。

これらはNSGグループの長期的な目標であり、以下の短期的な目標もあります。

  • シニアマネジメントチームの強化
  • すべての社員に成長機会とリスキリングの提供
  • 競争上の優位性の源泉として、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進
  • 当社が事業を展開する地域社会との強い絆の構築

これらすべては、インタラクティブで効果的なコミュニケーションによって支えられています。これらについては、以下でさらに詳しく説明します。

人権尊重、ウェルビーイング

NSGグループは、経営理念「Our Vision」で設定している6つの「コアバリュー」の1つ目に「人を尊重し、人を活かす」ことを掲げています。これは住友の理念である「事業は人なり」に通じるものであり、1918年の設立以来重んじてきている価値観です。

また「コアバリュー」の2つ目には「信用を重んじ、誠実に行動する」ことを掲げており、これを具現化した「NSGグループ倫理規範」は、人権の尊重、安全・健康、行動に対する責任、オープンで全員参加を促すコミュニケーションをすべての社員に求められる行動として規定しています。「倫理規範」は、国際的に宣言された人権遵守を明確に示しています。NSGグループの機会均等および多様性に関するポリシーは、個人の経歴、人種、肌の色、主義、国籍、年齢、婚姻・パートナー関係、妊娠・出産、性別、性転換、性的指向、宗教またはその信条、出身民族・出身国、身体障害、組合員であること、政治的所属、またはその他の法により保護されている身分に基づく差別を禁止しています。

また、NSGグループ社員の健康と安全を最優先されるべき事項として位置づけています。健康に関する個人情報は、プライバシーに特に配慮して慎重に取り扱う必要があり、国や地域によって文化的だけでなく法的にも異なる取り扱いが必要となります。そのため、健康に関する人事関連の取り組みは、現時点では日本に限定しています。詳細については、別のセクションで説明します。

これら人権尊重、ウェルビーイングが人事戦略の前提となるものであり、これを踏まえて短期目標が策定されています。

シニアマネジメントチームの強化

リーダーシップ行動憲章は、NSGグループの指針となっています。憲章を受け入れたリーダーの行動には、顕著な変化が見られました。次のステップは、すべてのリーダーシップ プログラムにこの行動を取り入れ、コミュニケーションが憲章に沿うようにすることです。

当社のリーダーシップ行動憲章は次のとおりです。

シニアマネジメントの後継者計画(サクセッションプラン)を育成計画と併せて策定することは非常に重要です。後継者育成計画は、独立社外取締役が委員長を務める指名委員会によって毎年見直され、強化できる点を検討します。これには、候補者の準備状況の促進、潜在能力の開発、懸念事項やギャップの明確化などが含まれます。

すべての社員に成長機会とリスキリングの提供

2018年に、グループのビジョンおよびバリューを支援する広範な人材戦略の一貫としてタレントマネジメントを導入しました。主要なグローバルの人事記録やデータをグループ共通のタレントマネジメントシステムに移行すると同時に、すべてのマネジャーに人材育成プロセスに関する包括的なトレーニングを提供しました。2019年には、社員のパフォーマンスレビューに関する議論を深化させることを目的として、NSGグループコンピタンシーモデルを導入しました。これらの取り組みの結果、社員はパフォーマンスレビューに関してより透明性を持てるようになりました。すべての国、地域、事業部門の人材データを経営陣が共有できるようになりました。

2025年までに、タレントマネジメントを職場に定着させ、マネジメントの各階層において、中期経営計画を実現する能力を持ったリーダーの育成をすることを目標としています。さらに、デジタル化、マーケティング、新規事業開発などの分野のリスキリング教育も社員に対して実施します。研修においては、グループのプログラムを従来の対面式の教育形式から、バーチャル教室、アクションラーニングセット、コーチングなどを含めたより多様なブレンド型学習形式に移行させて、継続的に研修を実施しています。

階層別の育成においては、グローバル経営人材の次の階層を含む地域の人材の育成活発化に注力することが主な目的です。将来のグローバルリーダーへと進化する人材の発掘と育成を強化することを目的として、定期的なグローバル人材会議を開催します。

競争上の優位性の源泉として、ダイバーシティ、エクイティ&インクルージョンの推進

目標を達成するにはインクルーシブな組織文化を育むことが不可欠です。当社は、設定した女性管理職比率の目標を上回るなど大きな進歩を遂げてきました。当社のダイバーシティ、エクイティ&インクルージョン運営委員会は、当社が事業を展開するすべての国で積極的に活動し、取り組みを推進しています。この活動は、ワールドクラスの優秀な人材を引きつけ、維持するために不可欠です。

中期経営計画では、シニアリーダーが会議を開き、指標について話し合い、一連のストレッチ目標を策定して合意しました。ただし、インクルージョンは指標だけの問題ではなく、当社は、現在の社員と将来の社員にとって重要な側面を引き続き優先します。

当社が事業を展開する地域社会との強い絆の構築

新型コロナウイルス感染症のパンデミックから得た経験を踏まえ、当社は学習と交流に対する柔軟なアプローチを促進しています。個人が直接交流することは非常に重要ですが、これがもたらす可能性のある潜在的な課題を認識しており、可能な限り柔軟性を奨励しています。当社は世界各地の拠点で数多くの地域イベントを開催しました。良き隣人となるというコミットメントは、社内外のステークホルダーとの絆を強化します。これらすべては、インタラクティブで効果的なコミュニケーションによって支えられています。

オープンで透明性のあるコミュニケーションは、包括的で高業績の組織を育成するために不可欠です。当社では、従業員意識調査「Your Voice」、タウンホールミーティング、イントラネットの更新、書面および口頭による情報更新など、さまざまなチャネルを通じて、グループ全体のコミュニケーションの改善において大きな進展を遂げてきました。

パフォーマンス文化を構築するには、パフォーマンスと能力開発について従業員とマネジャーの間で対話を促進することが不可欠です。2024年に、新しいパフォーマンス管理アプローチを導入しました。このアプローチは、外部のベストプラクティス、従業員とマネジャーからのフィードバック、およびグループの戦略目標に基づいて設計されました。

当社の「Your Voice」調査は、引き続き当社の人材戦略に貴重な情報を提供しています。2023年の調査では、いくつかの重要な領域で顕著な向上が見られ、傾聴戦略の有効性が明らかになりました。当社は、「Let’s Talk」セッションを通じて進捗状況をモニタリングし、2025年に再度調査を実施します。私たちは、これらの取り組みを通じて、すべての従業員が価値を認められ、最高のパフォーマンスを発揮できる包括的な組織を構築し続けることができると信じています。

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