水の利用とマネジメント

ガラス製造において水は主に冷却のために使用されますが、ほとんどの工場では水循環システムが稼動しているため、補充のみが必要になります。また、工場内でガラスを洗浄する際に使用する水については純度の高い水が必要となることから、特別な処理を行ったうえで水を再循環させています。産業排水の処理業者と協力し排水をリサイクルするとともに、最新の水処理施設を導入して水の使用量を最小限に抑えるよう努めています。これらの工程は、製造革新部の標準化プロシージャー(例、必要ない時の洗浄スプレー使用停止、最適サイズのノズル利用、水受けの設置、水あふれおよび漏れ防止策の実施)により管理しています。こうした取り組みは、取水量を減らすだけでなく、水処理に使用される化学物質の使用量を削減する効果もあります。

NSGグループでは、工程または製品の違いや水質の違いにより、各工場で使用する水の量は大きく異なります。フロートガラスの製造では通常1トン当たり約2.6m3の水が必要となり、自動車用ガラス製品の加工では1m2当たり約0.12m3の水が必要となります。2022年の総取水量は、14.8百万m3でした。2021年との比較では1.3百万m3(8%)の減少しています。

詳細はNSGグループ ウォーターポリシーをご覧ください。

■ NSGグループ総取水量 2015-2022
■ NSGグループ水源別取水割合 2022
データはこちらを参照下さい。

水リスク

水不足や排水の水質に関して、現在、ステークホルダーから懸念は示されていません。その他の水リスクについては、兆候が見られた地域で、洪水に関する計画および対策を実施しています。水リスクは、NSGグループのリスク評価プロセスではそれほど重大なイシューではないと認識していますが、今後も全施設でリスク評価を続けていきます。また、NSGグループのサステナビリティ委員会においても、水リスクやパフォーマンスの見直し、および水のマネジメントに関連する活動について議論を行っています。

NSGグループは、グループのサステナビリティポリシーおよび環境ポリシーをサポートするかたちで、水のマネジメントに対する取り組みを明確にし、水質の課題や水不足のリスクに対応するため、2020年に新しくウォーターポリシーを制定しています。

2019年に、NSGグループは環境に関するより洗練された報告・分析データベースを新たに導入しました。すべての事業所が個別情報と水に関するデータをグループ共通のデータべースに報告することで、グループおよび事業所レベルでのさらなるデータ集積、分析、モニタリングを可能にしています。2022年のデータ報告とレビューでは、世界の水リスクをマッピングするAqueduct Water Risk Atlasと照らし合わせた結果、NSGの9つの事業所が水資源の乏しい地域に位置していることが判明しています。これらの事業所における取水は2023年3月期のグループ全体の14%を占めます。これらの事業所は、水マネジメントの見直しおよび改善活動の優先的な対象となっています。

Water stress map 出典:Aqueduct Water Risk Atlas

節水プロジェクト

節水プロジェクトの中でも、イタリアのサン・サルボ工場での節水プロジェクトは非常に成功している事例として挙げられます。サン・サルボ工場は、イタリア南部の東海岸に位置し、潜在的に水不足に陥る可能性がある地域にあります。機器の冷却、ガラスの洗浄、蒸気の発生に利用される水のほとんどは、近くの川から供給されており、暑い夏の時期には水不足になる懸念があります。

こうした環境のもと近年は、水利用の改善、再利用の最適化、雨水の使用の3つのステップで改善プロジェクトを推進しています。この3つのステップにより、2022年には河川からの取水量をプロジェクトのベースラインである2019年に対して69%削減することができました。節約された河川の水は、現在、地域の飲料水を供給するために使用されています。

このプロジェクトは、2022年にNSGグループの「EHSアワード環境賞」を受賞しました。

また、ベトナムのハノイにあるガラス製造工場でも、別の大規模な節水プロジェクトを実施しました。雨水の回収に加え、ガラス洗浄機の水も再利用するシステムにすることにより、当工場における水の使用量を17%削減することができました。

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