社長メッセージ

最初に、新型コロナウイルス感染症で亡くなられた方々のご冥福をお祈りするとともに、罹患された方々の一刻も早い回復と株主の皆様とご家族のご健康と安全を心よりお祈り申し上げます。

当期(2021年3月期)は、世界の人々の生活と経済にとって大変厳しい年でした。当社グループも、最善の努力にもかかわらず大きな影響を受け、満足することができない業績に留まる結果となりました。一方、多くの困難の中でも、世界経済はこの状況に迅速に適応し、着実に回復に向けて進みだしています。人々の日常生活にもリモートワークやeコマースの普及など様々なイノベーションが驚くべき速さで浸透し、仕事の進め方、プライベートの過ごし方を一新させました。そのような変化の中で、コロナ後の新しい社会の姿やニーズも明らかになってきました。 当社グループは、このような機会をとらえ、持続的な成長に向けて、以下の中期ビジョンを新たに掲げました。

高付加価値の「ガラス製品とサービス」で社会に貢献する グローバル・ガラスメーカーとなる

  • 貢献する領域として次の3分野を設定
    ① 快適空間の創造 快適で安全・健康な「人にやさしい生活空間」を創造する
    ② 地球環境の保護 再生可能エネルギーの活用拡大や冷暖房負荷の軽減などを通して「地球にやさしい環境」を創造する
    ③ 情報通信分野 人々の暮らしをより便利にし、社会の進化をささえる情報通信関連分野に貢献する
  • 企業として「ありたい姿」
    ・ 常に変革に挑戦し、やり抜き結果を出す企業グループであり続ける
    ・ 事業活動を通じて、従業員が「成長」し「働く喜び」を得られる企業グループであり続ける

私たちは、「顧客重視・迅速な意思決定とアクション・困難な課題の克服」を重視し、常に変革に挑戦しやり抜き結果を出すことを通じて、株主の皆様に大きな価値を生み出していきます。高機能の板ガラスに対する市場ニーズは多様かつ旺盛で、「ガラス発の価値創造・事業発展」の機会に満ちています。これらの機会を当社グループの成功に変えていきたいと思います。

2021年3月期の総括と2022年3月期の取り組み

当期における当社グループの事業環境は、第1四半期において世界的な新型コロナウイルス感染拡大による需要の急減に見舞われましたが、その後、順次経済活動が再開され、需要の回復基調が期末にかけて続きました。建築用ガラス事業は、第2四半期以降、各四半期の営業利益が前期を上回ったことに加え、太陽電池パネル用ガラスの需要も引き続き堅調に推移しました。自動車用ガラス事業は、年度初めの落ち込みから回復して、前期のレベルを上回りつつありますが、自動車メーカーにおいて半導体部品不足の影響を受けました。高機能ガラス事業では、新型コロナウイルス感染拡大による影響は比較的限定的でした。

当期の売上高は、第1四半期における急激な需要の減少により、 前期比10%減の4,992億円(前期は5,562億円)、営業利益は131 億円(前期は212億円)となりました。新型コロナウイルス感染拡大による設備休止に伴う費用等にかかる個別開示項目費用(純額) として累計で161億円を計上しましたが、大半は第1四半期に計上したものです。その他の主な個別開示項目としては、コスト構造改革に伴うリストラクチャリング費用147億円を下半期に計上した一方、日本国内の有形固定資産(土地)の売却に伴う譲渡益71億円によって損失を幾分軽減しました。この結果、親会社の所有者に帰 属する当期損失は169億円(前期は189億円の損失)となりました。

当期における取り組みとしては、米国オハイオ州で太陽電池パ ネル用ガラス製造のフロートラインが2020年11月に稼働を開始し、今後の収益拡大への寄与を期待しています。また、ゾル-ゲル法* によるガラスへの抗菌・抗ウイルスコーティングの開発に成功するなど、厳しい事業環境の中においても新技術開発に努めました。

2022年3月期は、ロックダウンの緩和により事業環境は一層改善し、売上高及び営業利益が増加する見込みです。さらに、当期に実施した人員削減施策等の構造改革によりコスト改善効果を創出するとともに、資産、事業の売却による収益の計上等により、親会社の所有者に帰属する当期利益の黒字転換を予想しています。

*ゾル-ゲル法:溶液原料の化学反応により合成したゲル体を加熱処理により緻密化することで、セラミックスやガラス質のコーティングを作製する材料合成法の一つで、基板ガラスと同じシリカ構造の密着性の高い成膜が可能

新中期経営計画「リバイバル計画24(RP24)」の策定

中期ビジョン実現へのステップとして、2022年3月期から2024 年3月期までの3年間を期間とする新中期経営計画「リバイバル計画24(RP24)」を公表しました。RP24の期間については、構造改革期と位置づけ、「コスト構造改革」、「事業構造改革」、「企業風土改革」からなる「3つの改革」と、「財務基盤の回復」、「高収益事業へのポートフォリオ転換」からなる「2つの重点施策」を断行し、持続的成長が果たせる強い事業体質の構築に向けて、抜本的・本質的な施策を完遂する方針としています。

財務面では、当社グループにとって喫緊の課題である、持続可能な財務基盤への回復を期し、安定的な純利益とフリー・キャッシュ・ フローの創出により、自己資本比率10%以上への早期回復を図ります。さらに、中長期的視点で財務基盤の強化についても機動的に検討してまいります。

● RP24期間の最終年度(2024年3月期)における財務目標

サステナビリティへの取り組み

当社グループは事業活動を通じ、社会と環境の両面に対し大きな貢献ができるように努めています。あらゆるステークホルダーの要請をバランス良く満たしながら、私たちのサステナビリティ目標の達成を目指しています。

とりわけ、中長期的な企業の持続的成長と持続的社会の実現への貢献を両立する上で、気候変動への取り組みが世界的な課題となっている中、当社グループは創エネルギー・省エネルギーに貢献する強みのある製品群のさらなる拡販に注力すると同時に、製造工程からの温室効果ガスの排出を2030年までに2018年対比で 21%削減する目標の達成に全力を注ぎます。さらに、将来のカーボ ンニュートラルを達成していくためのより具体的な道筋を早期に示していきたいと考えています。

配当について

当社グループは、株主の皆様に対する利益還元を経営の重要課題の一つとして認識し、持続可能な事業の業績をベースに、安定的に配当を実施することを利益配分に関する基本方針としています。そのため、財務基盤を強化し、将来の事業展開のために適正な内部留保を確保した上で、配当金を決定いたします。

当期(2021年3月期)の普通株式の期末配当につきましては、当社グループの業績、財務状況等を総合的に勘案し、誠に遺憾ではありますが、当社取締役会はその実施を見送ることを決定いたしま した。また、2022年3月期の普通株式の配当金につきましても、無配を予想しております。

当社グループは、配当は株主の皆様にとって重要なものである と認識しており、グループの業績が十分に改善した段階で配当実施を再開することを考えております。  

株主の皆様におかれましては、引き続きご支援、ご鞭撻を賜りますようお願い申し上げます。

2021年6月
日本板硝子株式会社
代表執行役社長兼CEO
森 重樹