NSGグループの脱炭素・環境負荷低減への取り組み
エネルギー集約型・炭素集約型の製造業である当社グループにとって、気候変動への取り組みは必要不可欠であり、当社製品・サービスを通じた脱炭素社会への貢献は「快適な生活空間の創造で、より良い世界を築く」という当社グループの使命を果たすことにもつながります。気候変動等の社会的課題に向けて積極的に取り組み、持続可能な社会への貢献と企業価値の向上に努めています。当社グループは引き続きTCFDに賛同しており、2019年にSBTi認定されたスコープ1およびスコープ2の目標引き上げとスコープ3の目標追加を実施し、2022年5月にスコープ1,2,3すべての温暖化ガス削減目標についてSBTiの認定を取得しました。また、2050年のカーボンニュートラルの達成もコミットしています。達成に向けたロードマップの実現により、CO2排出量の削減、ひいては環境貢献製品の継続的な開発と当社事業に関連する機会の拡大につなげます。
スコープ1(自社排出)の削減に向けた取り組み
当社はスコープ1の排出量削減に向け、以下のさまざまな技術的選択肢を検討しています。
- 代替燃料の使用:2021年9月に世界で初めて水素エネルギーを利用した建築用ガラスの製造に成功、また2022年2月にバイオ燃料を100%利用したガラス製造にも成功する等、積極的な技術開発の取り組みを行っています。
- ガラスの電気溶融:ガラス製造工程における化石燃料の代替として再生可能電力の使用量を増やす取り組みを行っています。2025年にはドイツ政府の支援を受け、電気溶融によるガラス生産量をグループ内で過去最高の水準に引き上げるプロジェクトを実施する予定です。
- ガラス製造原料の代替:ガラス溶融工程では、ガラス製造の原料である炭酸塩鉱物が炉内で分解することにより、大量の二酸化炭素が排出されます。この原材料由来の二酸化炭素排出量を削減するために、材料の炭酸塩をさまざまな酸化物に置き換える試みを行っています。2022年にはチリのフロート窯で「ドライム(CaOMgO)」を使用したガラス製造に成功しました。2023年以降もさらなるスタディを継続します。
- カーボンキャプチャー:ガラス溶融窯から排出されるCO2を回収するプロセスは、一般的なCO2回収プロセスとは異なります。そのため、当社のニーズに合ったプロセスを提供できる可能性が高い開発パートナーと協業を進めています。2023年には英国政府の支援を受ける予定です。特に水素やバイオ燃料については、より大規模な燃料を競争力のある価格で調達することが重要になります。サプライヤーとの長期契約や、事業所近辺での燃料の生産拠点確保や安定供給等の点については、購買チームが中心となりスコープ1の削減に向けた取り組みを進めています。
スコープ2(自社排出)の削減に向けた取り組み
当社は、2024年末までに再生可能電力を50%にするという目標を掲げています。この目標達成のために、当社グループはイギリスのレイサム研究所、アメリカ・オハイオ州のロスフォード工場等でオンサイト太陽光発電の導入を進めています。他にもグループ全体で多くの太陽光発電プロジェクトが進行中です。また、発電源証明やPPA契約(Power Purchase Agreement)等も、グローバルで積極的に導入を進めています。
スコープ3の削減に向けた取り組み
当社は2022年、環境や社会的側面等あらゆる要因について持続可能なサプライチェーンを検討するためのサステナブル・サプライチェーン委員会を発足しました。その活動の中でスコープ3の排出量削減についても取り組んでいます。取引のあるサプライヤーとさまざまな協働を行い、排出量データの把握やベストプラクティスの共有等の取り組みも進めています。