磁気ディスク用ガラス基板の合弁会社設立について
株式会社神戸製鋼所(社長 熊本昌弘)及び日本板硝子株式会社(社長 出原洋三)は、HDD(ハードディスクドライブ)に内蔵される磁気ディスク用ガラス基板の大口径化に対応すべく両社それぞれの立場で検討を重ねてきましたが、今般、ガラス基板加工とその販売を行う合弁会社設立について合意致しました。
今回の提携は神戸製鋼所、日本板硝子それぞれがお互いの強みを認め合い、アルミ基板、ガラス基板それぞれの分野で世界有数の企業同士が合弁事業展開を行うものであり、磁気ディスク基板市場において一大勢力を築くことになります。
新会社の概要は以下の通りです。
(1)社名 :Advanced Disk Technology SDN.BHD.(略称ADT)
(2)所在地 :マレーシアの予定
(3)会社設立 :1999年4月
(4)稼動開始 :1999年12月
(5)役員 :社長は日本板硝子より派遣予定 役員数は4名(両社同数)
(6)資本金 :約15億円の予定
(7)出資比率 :神戸製鋼所50%、日本板硝子50%
(8)投資額 :初期投資として約30億円
(9)社員数 :約400名(2000年3月末時点)
(10)事業内容 :磁気ディスク用ガラス基板の製造加工及び販売
(11)生産能力 :約200万枚/月(2000年6月末時点)
コンピュータの外部記憶装置であるHDDに使用される円盤状の基板は、もともとアルミが使用されていましたが、近年ガラス製の基板の採用が増えています。これはガラス製基板が、記憶媒体の大容量化に適し、耐衝撃性に優れていることによるもので、ノートパソコン向け(2.5インチ=65mm)ディスクでは全面的に採用され、今後、デスクトップパソコン向け(3.5インチ=95mm)ディスクなどの大口径基板においてもガラスの採用が増えてくるものと予想されます。
神戸製鋼所は磁気ディスク用アルミ基板の原盤となるブランク材では世界の約50%のシェアを持ち、さらに米国・マレーシアの関係会社を中心にサブストレート(鏡面仕上品)事業も行ってきましたが、ガラス基板の大口径化が進展する機会を捉え、ガラス基板加工事業への進出のために有力なガラスメーカーとの連携を検討していました。
一方、日本板硝子は磁気ディスク用ガラス基板では世界の約40%のシェアを持ち、(*1)フロート製法によるガラス基板の優位性を活かしながら、国内外での事業展開を図っていますが、市場拡大が急激なガラス磁気ディスク事業について一層の事業拡大を進めていく上で、有力なパートナーが不可欠であると考えていました。
このような状況の中で、両社の強みを活かしながら磁気ディスク用基板事業を拡大発展させるため、合弁会社設立に至ったものです。合弁会社では2000年度の売上高として60億円を見込んでいます。
(ご参考)
(*1)フロート製法とは
熔解したガラスを熔融金属(スズ)の上に浮かべて製板する方法で、平滑性の優れた板ガラスを大量生産できるプロセス。