富士ゼロックス社とのLEDプリントヘッドの共同開発について

Date
2003年 12月 16日
日経産業新聞(11月11日付)、化学工業日報(12月9日付)に掲載された記事について、お問い合わせが多いことから、事実関係を以下の通りご報告いたします。 当社は、富士ゼロックス株式会社殿、及び鈴鹿富士ゼロックス株式会社殿との間で、当社が独自に開発した自己走査型発光素子(SLED; Self-Scanning Light Emitting Device)と屈折率分布型ロッドレンズアレイ(SLA®; Selfoc® Lens Array)を用いた1200dpi(1インチ当たり1200画素)の発光ダイオード(LED)方式のプリントヘッドの共同開発を行うことで合意しました。
従来、複写機やオフィス用プリンタ等に用いられているトナーを使う電子写真方式のプリント技術では、レーザー方式が主流であり、製品市場全体の9割程度を占めていますが、近年、高解像化、高速化、カラー化、小型化、環境対応のニーズの高まりを受け、これらの点において優れた特性を持つLED方式の技術がクローズアップされています。
高解像化の点では、現在の電子写真方式での主流である600dpiから今後の主流と見られる1200dpiへの進展においては、今後各色ごとのプリントヘッドを4本用いる4連タンデム構造が主流となり、この構造ではSLEDを用いたLED方式の方が、レーザー方式よりも製品化に有利であると考えられています。
加えて、レーザー方式では構造上、製品種類ごとの個別の開発が必要であるのに対して、LED方式は製品毎の部品の共通化が容易であり、開発コストが削減出来ると同時に、部品の再利用が可能になります。
このような利点があるものの、画質、コストの面で劣る点があり、LED方式の本格的な普及には至っていませんでした。今回の共同開発では、これらの点を改善し、搭載商品のトータルライフサイクルコストで、レーザー方式よりも優位に立つことを目指すものであります。
1999年に当社が発表した世界で初めて製品化に成功したSLEDは、光源としてのLEDと駆動ICを同一のチップ上で一体化した製品であり、主として以下のような利点があります。

1. LEDとICの結線が不要なため、ワイヤボンディング数を、従来の約1/50に低減。
(A4の1200dpiタイプで約1万本を約200本に低減。製品化歩留率、コストに格段の効果。)
2. ワイヤボンディングパッド数が少ないことから、LEDチップ面積を従来の約1/3に低減。
(LED材料コストに格段の効果)
3. 駆動ICの数を、約1/15~1/30に低減。(IC材料コストに格段の効果。)
4. 発光輝度を従来の約10倍に向上。(印刷速度向上及びヘッド発熱の低減効果。)
5. 発光光量分布を従来の約1/3以下に低減(画質品質の向上効果。)
 このような他に類を見ないSLEDの製品としての優位性が、今回の共同開発に至ったベースとなっています。
この共同開発によって製品化に成功した場合、鈴鹿富士ゼロックス社はこれを積極的に広く市場に提供していくことを計画しており、富士ゼロックス社はLED方式の優位性を発揮できる製品への搭載と販売を予定しております。

【お問い合わせ先】
日本板硝子株式会社 総合企画室 広報グループ 03-5443-9505
 
<補足>
1.レーザーとLEDの仕組みについて

レーザーとLEDの仕組みについて 

  LHP レーザーROS
光路長が短い為、ヘッドが小型・軽量
装置の小型軽量化が可能である
光学系が大きく、小型化・軽量化が困難
機械的稼働分が少なく、低騒音・低振動・低ノイズ化が可能である
騒音測定限界以下
MPAの固有振動ノイズが避けられない
騒音:31dB
主走査方向の印字が同時に行われる為、
印字速度限界が高い
ラスタースキャンが必要で印字速度限界が低い
スタンバイ時の消費電力微量≒0w 常時MPAが消費している。3~5w
光路長が短い為、
感光体周長占幅が大きい
感光体周長占有幅が小さい
焦点深度が浅い ± 0.05mm 焦点深度 ± 1mm
Chip実装位置ずれにより、つなぎ目で縦筋を発生しやすい ―――
LEDチップ間の光量バラツキが大きい為、光量補正が必要である ―――
クロストークを発生しやすい ―――
光学部が露出している為、ほこり・汚れがつきやすい ―――


2.従来型LEDとSLEDの違い
従来型LEDとSLEDの違い 

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