住宅用光触媒クリーニングガラス「レイボーグ光(ひかり)」の発売について
日本板硝子株式会社(本社:東京都港区 社長執行役員:藤本勝司)は、2004年5月に発表しましたとおり光触媒クリーニングガラス「クリアテクト®」の住宅向け商品の開発を進めてまいりましたが、11月1日より正式販売を開始することとなりましたのでお知らせします。(商品名:レイボーグ光)
製品につきましては、本年2月より「クリアテクト®」としてビル用ガラスへの加工商品を正式発売しご好評を頂戴しておりますが、当社独自開発の「光触媒結晶化シード層技術」(下記1)を用いることで、光触媒によるイージークリーン効果を住宅用窓ガラスの中心になりつつある遮熱高断熱複層ガラスに付加することに成功しました。
このガラスは光触媒の効果で汚れを防ぎ、通常は洗剤による拭き掃除を必要とせず、雨や軽い散水だけでクリーニングします。また、夏場の遮熱機能と冬場の高断熱機能をも同時にあわせ持つエコ商品です。
リビングの窓に、エネルギーと眺望のロスを防ぐガラス。住宅用ガラスの新しいトレンドを生み出す商品と期待しています。
この製品に関わり、光触媒膜の製造過程において開発すべき課題でありました (1)大面積での均一性 (2)イージークリーン効果を発揮させるための構造制御 (3)生産性向上のための薄膜化、という3つの要素を当社独自のスパッタリング技術である「光触媒結晶化シード層技術」を開発することで解決致しました。この技術の内容につきましては、京都で開かれております第20回国際ガラス会議(XX ICG04 主催:日本セラミックス協会)にて9月30日に発表いたします。
またこの技術の開発と平行し、遮熱高断熱複層ガラスに用いられるLOW-Eガラス(低放射ガラス)に関して、すぐれた製造技術と製造能力を有し、世界的にもトップクラスのメーカーである米国カーディナル社(当社業務提携先:下記2)と両社の強みを活かした共同開発を進めた結果、光触媒膜を室外側に、遮熱高断熱膜(LOW-E膜)をその裏面にコーティングする技術の確立に世界で初めて成功しました。
製品の製造は、この製品の素板となる光触媒+遮熱高断熱ガラスをカーディナル社に製造委託の上輸入し、当社にて複層ガラスに加工いたします。
なお、光触媒技術の基本特許につきましては、東陶機器株式会社のライセンスを受けております。
【お問い合わせ先】
日本板硝子株式会社 硝子建材カンパニー
(担当:鈴木・安崎・出口) 03-5443-0107
総合企画室 広報グループ
(担当:藤井・尾崎) 03-5443-9505
【ご参考】
1:光触媒シード層技術
光触媒は酸化チタンの結晶化(特にアナターゼ型結晶)が前提条件であり、シリコンウエハーに相当するような結晶化した表面を下地基板として予め用意しておくと、結晶化に必要な熱エネルギーを最低にすることができ、スループットや損益分岐といった量産上の大きな課題が解決でき実用化できます。
しかし、シリコンウエハーのように窓ガラス全部を結晶にすることは経済的に不可能ですので、ガラスの表面極近傍だけを、酸化チタン結晶(とくにアナターゼ型結晶)の原子配列と整合性が高く、かつそれ自体は薄い膜厚でも結晶化し易いような層を下地層にしておくことが最も望ましい工夫といえます。
今回の技術は、そのようなアナターゼ型酸化チタンと相性の良い、極めて特殊な結晶化下地層を見つけだし、これを形成し、かつ、光触媒の酸化チタンをその上にエピタキシャル的(同じ方向に向かわせる)に成長させる技術であります。
2:カーディナル社
1997年より弊社とスパッタコーティングガラスおよび複層ガラス分野での業務提携を行なっている。
社長 : ロジャー・オーシャネシー
所在地 : 米国 ミネソタ州 ミネアポリス市
取扱製品 : フロートガラス・複層ガラス・強化ガラス・コーティングガラス
【ご使用イメージ】
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1.散水の方法 |
2.散水後水膜が形成されている |
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【光触媒メカニズム】
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1.光分解作用で汚れの付着力を減少させる。 |
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2.中途半端な雨でも水滴跡にならない。また水分が汚れの下に入り込む。 |
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3.水膜形成で汚れを洗い出す。(雨や軽い散水時) |
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【断面構造図】
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1.製品イメージ |
2.概略図 |
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