世界初、光照射に反応して水中の重金属を吸着、脱着する「C&Rチェッカー」の開発
日本板硝子株式会社(以下 当社、社長執行役員:藤本勝司)は、この度、東京電機大学 工学部 環境物質化学科の 鈴木隆之 助教授のグループと共同で、水溶液中の様々な金属イオンを光照射により感度良く吸着、脱着でき、その状態を色変化によって容易に確認できる、光応答型の重金属吸脱着材料「C&Rチェッカー」の開発に成功しましたので、概要を以下の通りお知らせします。
近年、環境汚染防止、産業廃棄物の減量、資源再利用などの社会的ニーズの高まりにともない、工場等で使用される水、あるいは排出される産業廃液などに含まれる金属イオン、特に重金属イオンを効率よく除去・回収する方法の開発が望まれています。
このような金属イオンを除去・回収する方法としては、薬剤を用いる方法やイオン交換樹脂を用いる方法、中和凝集沈殿法、重金属捕集剤法等、数多くの方法が実用化されていますが、これら既存の方法では、「設備が大掛かりになる」、「前処理等の煩雑な操作と、それによる長い処理時間や多大な処理コストを要する」、「安全な操業のために専門的な知識を要求される」、「再生できる材料でも、強酸、有機溶剤など、別の環境汚染の原因になる材料を使用する必要がある」といった課題がありました。
今回開発した技術では、光の照射の有無により色変化を示す化合物(フォトクロミック化合物)の一種において、可視光照射の有無に反応して金属イオンを吸脱着する現象に着目し、このフォトクロミック化合物を含む高分子材料を、当社のガラスペーパー(硝子繊維不織布)に含有させることによって、簡単な操作で水溶液中の金属イオンを吸着し、可視光を照射するだけで金属イオンの脱着が可能な「C&Rチェッカー」を開発しました。
フォトクロミック化合物は、従来からその光スイッチング機能を生かして、光メモリー材料、光学素子、調光材料などに応用する取り組みがなされていますが、金属イオンを吸脱着することに着目した環境関連技術の開発は、世界でも例がないものです。今回、水溶液との親和性を保ちつつ、水中での吸脱着の自由な制御を可能にしたことで、初めて製品化への目処を確立しました。
「C&Rチェッカー」の特徴
1. 優れた金属イオン吸着、及び脱着特性、簡便な操作性。
2. 色変化(吸着=黄色、脱着=無色)によって、その状態が目視で容易に確認可能。
3. 可視光照射だけで初期化が可能であるため、強酸や有機溶剤などを使用する必要がなく、安全。
4. 耐久性に優れるため、繰り返し利用が可能。
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これらの特徴を生かし、金属イオンの回収による環境浄化、金属イオンの検知による環境モニタリング、分析時などにおける微量金属イオンの簡易濃縮など、様々な用途展開が期待できると考えています。
当社ではこれまで、適用可能な金属イオンの確認や、基本特性の把握、試作開発に取り組んできましたが、今後は、より詳細な特性分析とさらなる特性改善を図った上で、2007年までの製品化を目指してまいります。
土壌、水質浄化の分野においては、当社はイソライト工業株式会社と共同で開発した環境修復剤「アドセラ」を既に製造・販売していますが、これに加え「C&Rチェッカー」を商品ラインナップに加えることによって、環境浄化向け製品の品揃えの強化、ビジネス拡大を図っていきたいと考えております。
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【お問い合わせ先】 |
日本板硝子株式会社 |
広報・IR部 03-5443-9505 |
商品開発部 03-5443-9512 |
【商品コンセプト】
【金属イオン吸着、脱着の様子】 |
写真中、
上段のシャーレ:C&Rチェッカー(0.5mm厚)
下段のシャーレ:C&Rチェッカー(0.05mm厚)
右側のシャーレは鉛イオン含有溶液使用
左側のシャーレは純水を比較のために配置 |
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C&Rチェッカー含浸直後 |
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20分放置後 |
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ランプ照射30秒後 |
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20分再放置後 |