2021年4月入社式 社長挨拶(要旨)
新入社員の皆さん、NSGグループへの入社、おめでとうございます。NSGグループ役員、社員を代表して心から歓迎いたします。
皆さんは本日から社会人になります。社会人としての要件の一つは経済的自立です。これから毎月会社が皆さんに給与を支払いますが、これは、皆さんが期待される役割を果たしたから支払うものです。会社の期待とは何か、そしてそれにこたえていくためには何をすればいいのかを、常に考えながら仕事に向き合ってほしいと思います。
そしてもう一つ、社会人になるための大切な要件があります。それは社会に貢献することです。社会の構成員として、一人一人が社会を支えて使命を果たしていかなければ社会は成り立ちません。皆さんは、SDGs(エスディージーズ)という言葉を聞いたことがあると思います。SDGsとは、「Sustainable Development Goals(持続可能な開発目標)」の略称であり、2015年9月に国連で開かれたサミットの中で世界のリーダーによって決められた、国際社会共通の目標です。17の目標が掲げられており、当社もその目標に賛同しています。企業も単に自社の利潤を追求するだけでなく、世界・人類のための貢献を求められています。皆さんにも、一個人として、そして企業人として世の中に貢献していってほしいと思います。
社会人であるためのこれら2つの要件である、経済的な自立と社会への貢献を今後実行していくためには、自分がいったい何者で、どうやって生きていくのかを、考えてほしいと思います。自分の周りを見て、人の気持ちを理解して、その中で自分がどういう役割を果たしていかなければならないかを考えてほしいと思います。客観的にものごとを見る力、そして自分でしっかり考える力を身に付けていくことが重要です。
皆さんは、20世紀の最終盤に生まれ、21世紀に生きていく人たちです。21世紀が今後さらにどうなっていくのか、それには色々な見方があるでしょう。皆さんには、この世紀を生き抜いていくために、「時代を見る目」を養い、そのなかで自己の「アイデンティティを確立するための座標軸」を持ち、そして「どう身を処していくのかということを考える力」を持ってほしいと思います。
私は、21世紀に二つの重要な変化が起きると考えています。
まず一つは、国境の意味が薄れ、グローバルのつながりがよりいっそう強くなるということです。インターネットの発達により情報には国境はなくなりました。また、モノの世界でもサプライチェーンがグローバルにつながった結果、世界は一体となって動いています。最近でも一地域の一工場で起きた火災が、世界の産業活動を止めてしまうというようなことが起こっています。産業界に身を置く以上、グローバルな視点を持ち、常に世界の動きを把握し、そして実際に世界中の人たちと共に働くことが必須になってきます。皆さんも仕事の幅が広がっていくに従い、海外とのコミュニケーションする場が増えてきます。しっかり世界を見て、客観的に考える力を付け、きちんとグローバルにコミュニケーションを行ってください。
次に、デジタル化の進展、いわゆるDX(デジタルトランスフォーメーション)です。第4次産業革命と言ってもいいかもしれません。18世紀末以降の水力や蒸気機関による工場の機械化が起こった1次産業革命、20世紀初頭の分業に基づく電力を用いた大量生産が始まった第2次産業革命、そして1970年代初頭からの電子工学や情報技術を用いた一層のオートメーション化による第3次産業革命に続いて、IoT・ビックデータ・AI・ロボットなどの技術革新により産業に大きな変革をもたらすと言われています。
シンギュラリティという言葉を聞いたことがある方もいらっしゃると思います。2045年にはAIが人間の脳を超えるという説です。これが当たっているかどうかは別にして、もうすでに、人間がこなしていた仕事がどんどんコンピュータやロボットに置き換わっています。そして一部ではAIが考えて指示したことを人間が行うということも始まっています。間違いなく定型的な仕事はAIに置き換わっていきます。その時に、皆さんはどう自分の存在感を保っていくか、何で貢献していくか、それは大きな課題です。
グローバル化やデジタル化が進む中で、はっきり言えることは、過去と同じことを繰り返していては企業も生き残っていけないということだと思います。ダーウインは、「生き残る種とは、最も強いものではない。最も知的なものでもない。それは、変化に最もよく適応したものである 」と言っています。
少し厳しいことも言いましたが、今日から始まる社会人生活が皆さんの明るい未来につながるものであってほしいと心から願っています。そのために、「変化を受け入れ、変化に果敢に対応していく気持ちを持て」という言葉を、皆さんへのはなむけとして送りたいと思います。どうぞがんばってください。
以上
日本板硝子株式会社
取締役 代表執行役社長兼CEO 森 重樹