NSGグループのコーティング技術

ガラスは何千年も前から存在し、絶え間ない発展を遂げてきました。現代のガラスは、昔のガラスに比べてはるかに多くの機能を備えています。従来は、ガラスの組成や表面構造を変えることでガラスに新しい機能を追加してきましたが、今日では、ガラスの表面にコーティングを施すことでそれを実現しています。この記事では、現代における代表的なコーティング技術について紹介していきます。

オンライン CVD コーティング

建築用Low-E(低放射)ガラス/セルフクリーニングガラス

長年にわたり、コーティングは、透明性を損なわず、可視光を透過しながら、従来のガラスよりも効果的な熱管理を実現することで、建物のエネルギー効率を向上させるカギとなっていました。寒冷地の建物内からの熱を逃しにくくする断熱コーティングや、外からの日射熱を遮断し、冷房効率を向上させる遮熱コーティングなど、これらのコーティングは、建物全体のエネルギー効率だけでなく、室内の快適性を高める上で重要な役割を担っています。

NSGグループでは、オンライン・コーティングの種類を増やし、様々な機能性を提供し続けています。建築分野では、Low-Eコーティングなどの省エネ効果に加えて、掃除の手間を省く、防汚コーティングを組み合わせることでその製品価値をさらに高めています。

太陽電池パネル用透明導電性ガラス

NSGグループのオンライン・コーティングは、あらゆる先進技術の開発分野において、キーパーツとなっています。例えば、NSG TEC (Transparent Electrically Conductive Glass) シリーズの開発により、ガラスは目に見えない電線のように機能するようになり、この技術を利用して、ガラスの上にデバイスを構築することが可能となりました。

特にこのコーティング技術により、重要な役割を担っているのが薄膜太陽電池の分野です。CdTe薄膜太陽電池は、すでに世界中で大規模に使用されていますが、NSGグループでは、世界最大の薄膜太陽電池メーカーであるファースト・ソーラー社にNSG TECを供給することで、その分野において重要な役割を担っています。

次世代太陽電池

薄膜太陽電池の技術は発展を続けており、その代表格がペロブスカイト太陽電池です。この分野でも私たちのコーティング技術が利用されています。発電効率を高め、商業化を可能にするため、当社はガラスコーティング技術の分野で開発を進めています。

多くの太陽光発電技術が住宅や公共施設での発電に焦点を当てている一方で、有機太陽電池はガラスの持つ透明性を維持したまま発電できる可能性を持っています。このため、建築家は従来の窓の代替として太陽光発電の利用を検討することができるようになります。これは「BIPV(建材一体型太陽光発電)」と呼ばれており、NSGグループのNSG TECは、BIPVの分野でも重要な役割を期待されています。将来的には、何百年も前からガラスが提供してきた利点である優れた透明性を維持しながら、建物の面全体で電力を供給することが実現するかもしれません。

ゾル-ゲルコーティング

NSGグループでは、1990年代からゾル-ゲルコーティング技術による付加価値の高いガラスを開発してきました。ゾル-ゲル法は、溶液原料の化学反応により合成したゲル体を加熱処理により緻密化することで、セラミックスやガラス質のコーティングを作製する材料合成法の一つで、基板ガラスと同じシリカ構造の密着性の高い成膜が可能です。また、比較的低温での生産ができます。ゾル-ゲルコーティングを利用したガラス製品には以下のようなものがあります。

お手入れ簡単/抗菌・抗ウィルスコーティング

タッチディスプレイや建築用途など、菌やウィルスの繁殖が気になる幅広い分野での活用が期待される、抗菌・抗ウィルスコーティングガラス。

防曇コーティング

NSGグループは、ガラスメーカーとして世界で初めてADAS(先進運転支援システム)用の曇り止めコーティングを開発しました。情報化社会の進展に伴い、日常生活においてモニタリング機器が普及するようになりました。NSGグループは、この分野においての新たな可能性に貢献するため、技術開発を行っています。

太陽電池パネル用反射防止コーティング

気候変動対策として、太陽光発電はますます重要になっています。反射防止膜は、集光性の向上や太陽電池パネルの洗浄負荷の軽減など、さまざまな可能性を提供します。

植物用防眩・防汚コーティング

2030年には世界人口が85億人に達すると予想されています。また、地球温暖化による過酷な環境は、農作物にも様々な影響をもたらしています。このような環境変化に対応するため、ガラス温室によるスマート農業が取り入れられています。スマート農業において、作物の生育のために日射光のコントロールが重要となっています。ゾル-ゲル膜は、反射防止、光散乱、希望する光色への光変換、防汚など、光制御のためのさまざまな機能を提供することができます。

PVD コーティング

鳥類保護ガラス

毎年、多くの鳥が窓ガラスに飛び込み、命を落としています。NSGグループは、鳥が人間と異なる紫外線スペクトルの光を見ることができることに着目し、パターン化された紫外線強化反射コーティングによって、鳥の衝突を防止できるガラス技術を取り入れた「Pilkington AviSafe」の開発に成功しました。

これにより、ガラスの美的外観を損なうことなく、飛翔する鳥が建物のガラス外壁に誤って衝突することを防ぐことができるようになりました。

低反射コーティングガラス

ガラスは透明度が高いメリットを有していますが、ガラス表面の反射が気になる場面もあります。NSGグループは、こうした気になる光の反射を大幅に低減し、ガラス越しの視界をよりクリアにするコーティングを開発しました。 これにより、お店の窓ガラスをより鮮明に、美術館の展示物をより見やすくすることで、顧客体験の向上に寄与しています。

Photo: Pino & Nicola Dell’Aquila

NSGグループは、ガラスに機能性を持たせることに取り組んでいます。ガラス上のほとんどのコーティングは髪の毛の太さよりも薄く、目で見ることはできませんが、エンドユーザーの利便性の向上に大きく貢献しています。

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