当社は、本日開催の取締役会において、当社が既に約20%の株式を保有し、資本・事業提携先である英国大手ガラスメーカー、Pilkington plc(本社:英国セントヘレンズ、CEO: Stuart Chambers、以下「ピルキントン社」)の全株式を現金にて取得し、同社を完全子会社化(以下「本件買収」)する手続きを開始することを決議しましたので、以下の通りお知らせ致します。英国の法制度に基づく公表も平成18年2月27日(現地時間)に英国で行ないます。
本件買収後、当社は板ガラス分野でグローバルリーダーとなり、グループ売上高は約7,600億円(※1)に達する予定です。板ガラス分野での世界トップシェア(当社推定)を獲得し、規模の経済と技術融合によって、コスト・品質・サービスのあらゆる面で真のグローバルプレーヤーを目指します。これらの点において本件買収は、当社の企業価値を増大させるものであるといえます。
また本件買収は、友好的なものであり、ピルキントン社取締役会の了解および賛同を得ており、ピルキントン社経営陣は、本件買収成立後も、継続して同社及び当社グループ経営へ参画していくことに合意しています。
ピルキントン社普通株式1株あたりの買収価格は165ペンス(約340円)であり、当社がすでに保有している持分を除く買収総額は、約18億ポンド (約3,585億円)となる予定です。買収資金は、手元流動資産の他に日英両国における銀行借り入れ、および無担保転換社債型新株予約権付社債の発行(※2)により、調達する予定です。この資金調達計画は、両社の短期・長期にわたる財務安定性、健全性、柔軟性を十分に検討した上で策定しております。
本件買収は、後述の通り、英国裁判所認可のスキーム・オブ・アレンジメントにより、効力が発生することになりますが、ピルキントン社株主への正式書類は本年3月中に発送される予定です。本件買収のクロージングは本年6月下旬を目処に、裁判所の承認を得て、その後速やかに行う予定です。(※3)なお、本件買収は、関係当事国の独占禁止法上の認可取得が条件となります。
1. 本件買収の目的
- (1) ピルキントン社と当社のこれまでの関係、経緯
- 英国に本社をおくピルキントン社は、ヨーロッパや北米、南米、中国など現在24カ国でグローバルに事業展開をしている世界最大手の一角を占めるガラスメーカーです。当社は、グローバルに事業展開する顧客に対するサービス強化を主たる狙いとして、ピルキントン社と連携を強化してまいりました。 2000年に資本参加(10%出資)、2001年には約20%まで出資比率を引き上げ、同社は当社持分法適用会社となっております。
- (2) 本件買収の狙い
- 当社は2010年の姿をイメージした「ニュービジョン」を2000年に策定し、「先進性があり、かつグローバルで存在感のある企業」を目指すことを当社の長期方針として、諸施策に取り組んでまいりました。
これまで約20%出資にとどまっていたピルキントン社を完全子会社化することにより、「グローバルで存在感ある企業」の実現を加速させ、更に両社のこれまで蓄積してきた高い開発力・技術力などの分野におけるシナジー効果を最大限に引き出していくことにより、「先進性」に富む企業への躍進を目指します。
同社との今後のシナジーは、技術・開発・エンジニア、営業、生産、資材調達、物流、間接部門などそれぞれの分野にあり、規模のメリットと同時に、両社の強みを活かし、それぞれの弱みを補完していくことが期待できると考えております。
特に、グローバルに事業を展開する自動車メーカーには、「グローバルカー」に代表されるような世界同時に高機能・高品質ガラスの供給が今後ますますもとめられますが、両社の開発拠点、製造拠点を最大限に効率よく活用することで、その対応を改善・強化し、グローバルに顧客へのサービス向上を図ってまいります。
建築用板ガラス分野においては、BRICs諸国を中心に需要は長期的に拡大を続け、また日本など先進諸国では高機能ガラスの需要が拡大していくことを想定し、両社のグローバルな製造拠点の活用により、これまで以上に柔軟かつ機動的な製品の供給が可能となり、また両社の高い商品開発力を活かし、各地域でのニーズの開拓に努めてまいります。
- (3) 買収後の当社グループの姿と業界における地位
- 1) 買収後の当社グループ売上高は約7,600億円(※1)の規模となり、板ガラス分野では世界シェアトップクラスの企業となります(当社推定)。(※4)
2) 板ガラス分野の生産拠点は、本日現在全世界27カ国に及んでいます。
3) 全売上高の所在地別比率は、ヨーロッパ41%、日本31%、北米14%、日本を除くアジア4%、その他地域10%となります。(※5)
2. 買収金額について
- (1) 買付価格について
- ピルキントン社とは、同社普通株式1株当たり165ペンス(約340円)で合意いたしました。(※6)当社は、デュー・デリジェンスなどを通じて、ピルキントン社の資産内容、事業内容等について総合的に検討を重ねた上、さらにフィナンシャルアドバイザーであるLazard、UBS Investment Bank、及び大和証券SMBCからの助言も踏まえ、今回の買付価格が妥当なものと判断いたしました。
- (2) 買収に必要な金額
- 買収に必要な金額は、総額約30億ポンド(約6,160億円)を予定しております。これには、ピルキントン社既存有利子負債借り換え、諸経費等を含んでおります。
- (3) 買収資金の調達
- 買収資金の調達は、統合後の両社の短期・長期にわたる財務の安定性、健全性柔軟性を十分に検討した上で、以下を予定しております。
- (1) 手元資金および有価証券の売却 約889億円
(2) 英国における新規銀行借入(1,550百万ポンド) 約3,180億円(※7)
(3) 日本における新規銀行借入 450億円
(4) 無担保転換社債型新株予約付社債 1,100億円
(5) その他(主にピルキントン社手元資金) 約541億円
合計 約6,160億円
3. 買収手法について
本件買収は、スキーム・オブ・アレンジメント(Scheme of Arrangement)と呼ばれる手法により実施する予定です。
概略的に言って、スキーム・オブ・アレンジメントとは、被買収会社(本件買収においてはピルキントン社)が行なう英国法上の手続きで、株主承認決議及び裁判所の承認その他の条件を満たすことにより成立します。株主承認決議につきましては、被買収会社の全発行済み株式から買収者(今回の場合は当社)の所有に係る株式を除外し、残りの株式につき、議決権行使株主の過半数が承認し、かつ、かかる承認株主の所有に係る議決権数が議決権行使総数の75%以上であることが決議要件となります。手続きを通じて買収者は既存株主への対価(本件の場合、1株当り現金165ペンス(※6))を支払うことで、被買収会社の100%株式を取得します。
この手法は、ここ数年の英国に於ける公開企業買収案件で、被買収会社の取締役会が当該買収に賛同している場合に採用される事例が増えてきております。
4. 買収成立までのスケジュール(予定)
以下のスケジュールにて、手続きが行なわれることを想定していますが、独占禁止法上の認可等の諸事情により前後に変更される場合があります。
2006年3月末まで |
スキーム・オブ・アレンジメントに関する案内・手続き書類のピルキントン社株主への発送(予定) |
同年4月 |
裁判所審問及びピルキントン社株主総会(予定) |
同年6月下旬 |
裁判所の承認、その後速やかにピルキントン社株主に対する対価支払い決済(予定) |
5. 買収後のグループ運営体制と両社シナジーについて
本件買収成立後、ピルキントン社は当社の連結子会社として存続し適切な時期に、両社のシナジーがより発揮されるグループ運営体制に移行いたします。
また、両社シナジーについては、短期的には、年間あたり税引き前利益において約44億円のコスト削減効果を買収成立後約3年以内に見込んでおります。その内訳として、エンジニアリング、開発リソースの重複解消、共同資材調達による価格交渉力の拡大、生産分担の最適化による設備稼働率上昇、両社間のフロート窯の協調生産体制、販売拠点の統合、既存技術の交換による工場の生産性向上等があげられます。
長期的には、生産工程のイノーベーション・改善、新商品・付加価値商品の開発、品質レベルとコスト競争力の向上を図ります。詳細につきましては、本件買収成立後に改めてお知らせ致します。
6. 業績への影響について
今期(2006年3月期)の業績(連結、単体とも)に与える影響はありません。
来期以降の影響につきましては、当社の今期決算発表時にお知らせする予定です。
【参考:ピルキントン社について】
英国 セントへレンズ |
1826年 |
657百万ポンド |
1,320百万株 |
24億ポンド(建築用49%、自動車用47%、他4%) |
183百万ポンド |
31億ポンド |
会長 ナイジェル・ラッド
社長 スチュアート・チェンバース
他常勤取締役 2名
他社外取締役 4名
(計8名) |
3月末 |
約2万4千人 |
業績の推移(※8)
|
2004年3月期実績 |
2005年3月期実績 |
28億ポンド |
24億ポンド |
213百万ポンド |
219百万ポンド |
79百万ポンド |
131百万ポンド |
377百万ポンド |
376百万ポンド |
207百万ポンド |
167百万ポンド |
【参考:日本板硝子株式会社について】
東京都港区 |
1918年 |
41,060百万円 |
443,946,452株 |
2,650億円
(硝子・建材65%、情報電子17%、硝子繊維14%、その他5%) |
11,424百万円 |
426,909百万円 |
代表取締役 会長 出原洋三
代表取締役 副会長 阿部友昭
代表取締役 社長執行役員 藤本勝司
他常勤取締役 3名
他社外取締役 2名
(計8名) |
3月末 |
約1万2千人 |
業績の推移
|
2004年3月期実績 |
2005年3月期実績 |
269,149百万円 |
264,975百万円 |
10,025百万円 |
12,025百万円 |
3,207百万円 |
7,588百万円 |
17,603百万円 |
16,799百万円 |
27,244百万円 |
16,544百万円 |