マシンビジョン向けSELFOC® Lens Array「SLA 5AG」の開発に成功
~コンパクトさはそのまま、ワーキングディスタンス(作動距離)30mm以上を実現~
日本板硝子株式会社(東京都港区、代表執行役社長兼CEO:森 重樹、以下「NSG」)は、主にプリンター複合機(マルチファンクションプリンター)の読み取り部分であるコンタクトイメージセンサー(CIS)(*1)に使用されるSELFOC® Lens Array(以下「SLA」(*2))の用途をさらに拡大するため、産業用検査機などのマシンビジョン(*3)向けにワーキングディスタンス(作動距離、WD)(*4)を大幅に伸ばした新製品「SLA 5AG」を開発しましたので、お知らせいたします。
NSGが開発したSLAは、「板」形状のユニークなレンズです。一般的なレンズと比べ、光学系がコンパクトで(WD:約10mm~30mm程度)、歪みのない画像を幅広に伝送することができるため、プリンター複合機などのスキャナーに用いられてきました。SLAは、ライン検査装置用のレンズとしてもその性能が評価され、従来のカメラ方式に代わる新たな検査デバイスとして活躍の場が広がっています。AIとディープラーニング技術の高度化や、省人化、品質要求の厳格化などによる検査ニーズの高まりにより、様々な領域に採用が拡大しています。
従来のカメラ方式に対するSLAのメリット
- コンパクトで、省スペース
- 設置・メンテナンスが容易
- 照明一体型
- 広幅対応可能(最大約1m)
- 画像の歪みが少ない
新製品の「SLA 5AG」は、SLAの特長であるコンパクトさと2020年7月発売のSLA5DGが持つ深い被写界深度(*5)特性を維持したまま、現行品に比べ、ワーキングディスタンス(WD)を約2倍となる30mm以上に延長しました。これにより、検査対象物との距離を空けることができ、対象物のばたつきや異物の飛散等がある環境でも検査装置への衝突・汚染のリスクを低減します。また、メンテナンスや照明配置の設計自由度の向上にも貢献し、幅広い用途でさらに使いやすくなりました。例えば、インク・紙粉等の飛散が生じる印刷物の外観検査や、高度な照明条件が必要な透明フィルムの表面検査、対象物のばたつきが大きい鋼板等の欠陥検査など、様々な製造現場での活用が期待されます。
NSGでは、マシンビジョン向けのSLAとして、高輝度・高解像度なスタンダードタイプの「SLA-9AG」、昨年発売を開始した長焦点深度タイプの「SLA-5DG」、そして今回開発した長WDタイプの「SLA-5AG」と、幅広いラインナップを取り揃え、マシンビジョン市場の多種多様なニーズにお応えしてまいります。
以上
NSGグループ(日本板硝子株式会社およびそのグループ会社)について
NSGグループは、建築および自動車用ガラスとクリエイティブ・テクノロジー分野で事業を展開する世界最大のガラスメーカーのひとつです。
建築用ガラス事業は、各種建築用ガラス、太陽電池パネル用ガラス等を製造・販売しています。
自動車用ガラス事業は、新車用(OE)ガラスや補修用(AGR)ガラスの分野で事業を展開しています。
クリエイティブ・テクノロジー事業の主要製品は、プリンターやスキャナーに用いられるレンズや、タイミングベルトの補強材であるグラスコードやガラスフレークを中心とする特殊ガラス繊維です。https://www.nsg.co.jp
<お問い合わせ>
(報道関係等)
広報部
Tel:03-5443-0100
(製品のお問合せ)
情報通信デバイス事業部 営業マーケティング部
Tel:042-775-1546
ご参考:
SLAの詳細は、以下のウェブサイトをご参照ください。
https://selfoc.jp/product/sla/
マシンビジョン用SLA品種と仕様
NSGでは、お客様の様々なご要望にお応えするため、以下のSLAをラインナップしており、必要なワーキングディスタンス(WD)や被写界深度(DOF)から最適なレンズをお選びいただけます。
- TC (Total Conjugate、共役長): 検査対象物・センサー間の距離
- レンズ長 (Z0), 厚み (T): 想定保証値、その他のパラメータ・特性:想定実力値
- DOF (Depth of Field、被写界深度): MTF ave. (at 6lp/mm) が10%以上となる最大の光軸方向のずれ量
- WT (全幅) は、カスタムご対応としてその他のサイズもお選びいただけます(980㎜以下)
*1 CIS:Contact Image Sensor、コンタクトイメージセンサー
SLA(レンズアレイ)・光源・センサーが一体となったラインスキャンユニット
*2 SLA: SELFOC® Lens Array
*3 マシンビジョン:画像の取り込みと処理された情報基づいて機器を動作させる仕組み。例、自動検査機など
*4 ワーキングディスタンス(WD: Working Distance):レンズ先端から検査対象までの距離。小さいほど検査システム全体のサイズをコンパクトにすることができます
*5 被写界深度(DOF: Depth of Focus):レンズを通して対象物を見たとき鮮明な像が得られる光軸方向の範囲